「アイドル専用ジム」発足 ライブ前にストレッチはだめ?「業界のヘルスリテラシーを上げたい」

現役アイドルを支える「ジム」が始動する
現役アイドルを支える「ジム」が始動する

 〝夢を叶える〟ライブ配信プラットホーム「SHOWROOM」と、HKT48や=LOVEなどアイドルグループを担当してきた振付師の竹中夏海氏らがこのほど、アイドルの健康を支える「アイドル専用ジムプロジェクト」を立ち上げた。竹中氏は「業界全体のヘルスリテラシーを上げていきたい」と目標を語った。

 かねて「SHOWROOMライバーズカレッジ」などで配信者向けに芸能活動支援をしていたSHOWROOMが、アイドルにスキルアップの場を提供する。講師を竹中氏と、アイドルグループ「アイドリング!!!」の元メンバーでボイストレーナーの遠藤舞氏、同グループ元メンバーでパーソナルトレーナーの酒井瞳氏が務め、「基礎ダンス」「ボイストレーニング」「筋力トレーニング」の3ジャンルのレッスンを行う。参加者は現役アイドルのみに限定。応募者情報を精査したのち、3月末頃から都内で開催予定だという。

 3種のレッスンは「身体の使い方」やケアの方法など、基礎に重点を置く。「『スカウトされていきなりデビュー』みたいなことがすごく多い」と、アイドルの〝体づくり不足〟への竹中氏の懸念が反映されている。

 「アイドルの活動が始まるとものすごく忙しいので、実践メニューしかやらなくなってしまうんです。レッスンに時間をとっている感覚でも、実際は基礎が置いていかれたまま新曲の振り付けで手いっぱいになってしまう。体の正しい動かし方が分からないまま難しいダンスをやることになると、体を壊しやすい」。振付師としても、「振り付けレッスン」の限られた時間内では基礎の練習に十分な時間を割けない「ジレンマ」があった。

 さらに、「ライブの前後にアップとクールダウンをやりたいけど正しいやり方が分からない」「誰に何を聞けばいいのか分からない」など、アイドルが専門知識にアクセスしにくい現状もあるという。竹中氏は著書「アイドル保健体育」(シーディージャーナル)を作る際、整体師など体の専門家に話を聞いた。「私も話を聞くまで知らなかったんですが、運動前にストレッチをやらない方がいいらしくて。体にオフのスイッチが入ってしまい怪我しやすくなるということを知らなかった。教える方も知らないままやるのは危ない」。アイドルと専門家をつなぐ相談場所の必要性を語った。

 今後は、ファンがアイドルへレッスンのチケットなどをプレゼントできる仕組みの導入も検討している。竹中氏は「お金を出してもらおうというより、アイドル業界全体のヘルスリテラシーを上げていきたいというのが目的。ファンの方々にも、アイドルという職業は体を酷使するからケアもトレーニングも必要だということを認識してもらいたい」と訴えた。

 プロジェクト発足の発表から約9日間で、80人以上の応募があった。芸能事務所からも受講希望の問い合わせがあったといい、SHOWROOMの担当者・円谷洋平氏は「事務所の中でも課題感を感じている方々がいらっしゃる。業界全体のリテラシーが上がっていけばと思っています」と話した。

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