NHKから48歳異色の転身 三浦拓実アナがラジオNIKKEIの競馬実況デビュー 競馬場の場内放送としても使用

杉田 康人 杉田 康人
ラジオNIKKEIの三浦拓実アナウンサー
ラジオNIKKEIの三浦拓実アナウンサー

 元NHKアナウンサーの三浦拓実アナ(48)が、ラジオNIKKEIに局アナとして入社。3月6日に看板番組「中央競馬実況中継」(土・日曜、前9・30~後4・45)で、同局の実況アナとしてデビューした。同日の中山競馬1レースから6レースまでの実況を担当。1レースの発走直前には、中央競馬実況中継の放送内で進行役のアナウンサーから「きょうがラジオNIKKEIの実況デビュー、三浦拓実アナウンサーです」と紹介された。

 ラジオNIKKEIは第1、第2の2チャンネルで日本中央競馬会(JRA)の全レースを完全中継。実況は、JRAの競馬場内やウインズ、グリーンチャンネル等で流されるレース実況としても使用される。同局は開催中のJRA全競馬場にアナウンサーを派遣。本馬場に入場する出走馬、馬体重の紹介アナウンスも担当する。

 三浦アナは横浜国立大卒業後、1997年4月にNHK入局。神戸や広島、札幌放送局などでニュース番組のキャスターやプロ野球、高校野球などのスポーツアナウンサーとしても活躍した。NHK総合テレビの競馬中継で、2016年の日本ダービーやディープインパクトが出走した2006年の凱旋門賞の実況も担当した。

 近年はNHKの東京アナウンス室に勤務しマネジメント業務などをしていたが、2021年いっぱいで退局。競馬中継と株式関連番組を柱に放送するラジオNIKKEIに、2022年1月1日付でアナウンサーとして入社した。

 同社は従来の短波放送から、インターネット配信サービス・radiko(ラジコ)やParavi(パラビ)等に発信の幅を広げ、新たなリスナーも開拓している。ラジオNIKKEIの「中央競馬実況中継」は、同時間帯のラジコ全局中1位の聴取者数を誇るという。

 NHK時代、数々の大仕事をこなしてきたベテランアナウンサーの、異色ともいえる転身劇。三浦アナは「驚いた、びっくりしたという声の一方で、よく決断したねというねぎらいの言葉も。前職の上司も『やりたいことに一歩踏み出すことを応援する』と、温かく円満に送り出していただいた。ためらいもあったが、自分の人生でやりたいことをやろうかなと思った。前職や家族にもわがままを聞いてもらった」と、周囲の反応を振り返った。

 新たな挑戦の場にラジオNIKKEIを選んだ理由として、競馬実況に携わりたかったことを挙げた。「NHKのアナウンサーの仕事にもやりがいを感じていたが、より自分がやりたいテーマに深く向き合いたい。今後の人生を考えた時に、競馬の仕事に特化して取り組みたい、身をおいてやっていけないだろうかと思った」と決意を語る。1956年(昭和31)10月にスタートした同局の競馬中継は、JRAの公式的な実況の意味合いを持つ。競馬関係者やファンからの信頼も厚い同局のアナウンサーを選んだ。

 三浦アナは、ラジオNIKKEIの前身・ラジオたんぱが1995年から開講する競馬、競輪、ボートレースなどの実況アナ養成に特化したアナウンス講座「レースアナウンサー養成講座」の1期生。横浜国立大時代に講座へ通い、オグリキャップ引退レース(1990年有馬記念)の名実況が有名な同局OBの白川次郎氏(76)や宇野和男氏(64)らから指導を受けた。

 学生時代から競馬実況アナを志したが、縁あってアナウンサーとしてのキャリアはNHKからのスタートとなった三浦アナ。白川氏をはじめ当時の恩師に、同局の後進になったことを手紙で報告した。48歳でのラジオNIKKEIでの実況デビューに「20何年ぶりに戻ってきた。学生時代以来、再びお世話になるご縁をいただいた」と感慨深げだ。

 マイクが変わっても事実を正確に伝えることは同じと話す三浦アナだが、ラジオNIKKEIが70年近い競馬放送で築いた伝統と信頼を痛感している。「ファンの信頼や信用度が違う。JRAの場内放送としても使われているので、記録として残っていく。馬の走りを後世に残していくということでは、ものすごい責任」。血統や競走成績が重視される競馬。歴史を紡ぐひとつのピースとなる実況に、NHKとは違う重みを感じている。

 三浦アナは「ワクワクできる競馬の楽しさ、面白さをファンと共有していきたい。生産者や厩舎関係者など馬に関わる人たちにも思いをはせ、馬の走りやリズム、流れに合った放送にしていく。勝負の本質にいかに迫っていくか、伝えていくかということを大事にしたい。情景や空気も言葉で伝えていきたい」と、競馬実況で心がけていることを挙げた。

 ラジオNIKKEIでの実況デビューを終え、48歳で第2のアナウンサー人生をスタートさせた三浦アナ。豊富なキャリアを感じさせる的確なアナウンスで、競馬実況への思いを体現した。

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