腹話術日本一の座を競い合う「F―1腹話術グランプリ2022」の決勝戦が5日、神戸アートビレッジセンターで行われ、93組の応募者から予選を勝ち抜いた11組が個性豊かなパフォーマンスを披露した。同大会は今年が初開催。初代王者の座は「6体腹話術」で会場を盛り上げた「ニッシャン堂」さん(55)が勝ち取った。
41歳以上の「ナイスミドル部門」で優勝し、総合優勝を飾ったニッシャン堂さんは、布で覆われた大きな装置を身につけステージに登場。布の中から人形が次々と現れるたびに客席に笑いを巻き起こした。最終的には6体の人形を手足で動かし、7つの声を演じ分けた。審査員のいっこく堂は「僕よりうまくなったらだめじゃないですか(笑)」と褒めたたえ、優勝賞金を手渡すと「賞金で(人形が)何人に増えるかな」と今後に期待した。
ニッシャン堂さんは腹話術歴約10年。初代王者に決定すると、涙ながらに喜んだ。芸名の「堂」はいっこく堂を参考に名付けたもの。いっこく堂と念願の初対面を果たし「ほんまにうれしい」と感激した。
40歳以下の「ヤング部門」で優勝した「Toy Works」のやすださん(28)は、腹話術歴5年。約1年前から始めたヒューマンビートボックスを巧みに組み合わせ、やすださんがビートを刻みながら人形の「だんご」が「上を向いて歩こう」を歌い上げた。いっこく堂は「すばらしい。芝居もテンポもよかった」と絶賛した。
やすださんは「ミドル部門」優勝のニッシャン堂さんと総合優勝の座を競った。惜しくも敗れてしまったが「悔いはない」と話し、「あれ(ヒューマンビートボックス腹話術)ができるのは僕しかいない」と独自の芸風に胸を張った。
腹話術師・やないあつ子を中心に「若い人にももっと活躍してもらいたい」と企画された大会。やないはすでに第2回の開催を計画しているといい、閉会式の最中にいっこく堂へ審査員のオファーをしていた。