山P主演ドラマ「正直不動産」の〝モデル〟が明かす業界の実情

松田 和城 松田 和城

 俳優・山下智久が主演を務める連続ドラマ「正直不動産」が4月からNHKで放送される。その主人公のモデルだと話題になっているのが、「誠不動産」代表・鈴木誠氏(44)。〝リアル正直不動産〟の二つ名を持つ鈴木氏は、数年前から雑誌「ビッグコミック」で連載中の原作漫画の取材協力者として作品に携わっている。

 鈴木氏は13年前に現在の会社を立ち上げるまで、3社の不動産屋で勤務してきた。しかし、実際には存在しない空き物件を広告に掲載し、来店を誘って別物件を薦める、いわゆる「おとり物件」など、契約を獲得するために手段を選ばない業界の実情に葛藤があったという。

 「契約できれば何でもいいって会社ばかりでした。もう自分でやるしかないなと思い独立しました」と、2009年に独立し「誠不動産」を設立。既存顧客の紹介を条件に物件を案内する〝完全紹介制〟の第一人者となった。顧客への徹底した心遣いが評判となり、日本テレビ系バラエティー番組「有吉ゼミ」への出演や、芸能関係者、プロスポーツ選手らに物件を紹介するなど活躍の幅が広がった。

 同作では、あるきっかけでウソが一切つけなくなった主人公・永瀬財地が、正直さだけを武器に不動産業界で悪戦苦闘する様子が描かれている。その主人公像と鈴木氏が重なる部分が多く、「リアル正直不動産がいる」とささやく周囲の声が関係者と自身のもとに届き、19年には原作者の夏原武氏との対談が実現した。4月から放送されるドラマについては「業界の悪い部分を解決していく面もあるので、結構そわそわしている不動産屋さんが多いのではないかと思います」「実際、いまだに悪いことをしている会社もあったりするので、少しでもいい方向に進むといいなと思います」と期待を寄せた。

 これまでの物件内見数は2万件、契約顧客数は3000組をそれぞれ超える。多くの顧客対応の中、近年のお部屋探しの動向に変化が見られた。テレワークでのzoom会議を考慮し、無料のインターネットサービスよりも有料の高速回線を希望する人の増加。ユーチューブ、動画配信サービス・Netflixなどの流行で、若い層を中心にテレビを設置する人が減少している。これらの見解をつづったツイートは1500を超え多くの共感が寄せられている。「5、6リツイートされたらいいくらいの感覚だったんですが驚きました」と笑顔を見せた。

 鈴木氏によると、業界でもポータルサイトを使わない動きが少しずつ見えてきているという。「今まではどうしても『良い物件ありき』みたいな感じでした。今後は良い物件探しよりも不動産、担当の営業マン探しの方が注目されるのでは」と語った。

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