知っておくべき相続問題、まずは「範囲の確定」を 故人の負債の有無を知る方法

平松 まゆき 平松 まゆき
写真はイメージです(amosfal/stock.adobe.com)
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 近年、相続法の改正があり、相続の仕組みが段階的に変更されています。そこで今回から数回に分けて、知っておくべき相続問題を解説していきます。まず、改正内容をお話しする前に、相続の大原則を知る必要があります。

 相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産等がまるごと相続人に移転するということです。ここで注意が必要なのは、移転する財産「等」には、マイナスのもの、例えば被相続人が残した借金や、被相続人が生前に誰かの連帯保証人になっていたならばその地位までもが、相続人にまるまる移転します(以下、まとめて「相続財産」と呼びます)。「棚からぼたもち」のような良いことばかりではないのが相続の基本です。

 そのため、まずは相続財産の範囲を確定することから始めなければなりません。

 プラスの財産は、多くの場合、被相続人が使用していた通帳、その通帳の中の具体的な動き、金融機関や保険会社等からのお手紙等で知り得ます。こういったものが全く見つからない場合には、弁護士に依頼し、職権で調査をしてもらうこともできます。不動産であれば、被相続人がお住まいだった市町村で「名寄せ帳」を取り付ければ、被相続人が所有してた不動産が把握できます。

 マイナスの財産は、通帳の中の具体的な動きや、借用書、消費者金融からの請求書等で知り得ます。CIC、JICC、全国銀行協会といった信用情報機関に照会かけて、借金の有無を知ることもできます。仮にマイナスの方が大きい場合、相続放棄の手続きをする必要があります。この手続きは、相続の開始があったことを知ったとき(通常は被相続人が死亡した日)から3ヶ月以内に家庭裁判所にて行う必要があります。

 また、相続税の申告・納付が必要な場合は10ヶ月以内にするものとされており、これを過ぎた場合は延滞税・刑事罰が科されることもあります。

 このように、いずれも極めて短い期限があります。誰かがお亡くなりになると、葬儀や気持ちの整理に時間がとられ、気が付いたら期限が過ぎていることもよくありますので、注意が必要です。

 このほか、相続には様々なルールがあります。次回以降もお楽しみに。

 

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