感染力の強いオミクロン株が猛威を振るう中、日本の新型コロナウイルス新規感染者数が過去最多を更新している。終わりの見えないコロナ禍は国内でも第6波に突入したが、効果的な打開策はあるのだろうか。女優でジャーナリストの深月ユリア氏は「サメのタンパク質が新型コロナウイルスから人類を救う可能性がある」という科学雑誌に発表された米国での研究結果を紹介する。
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次々と変異し、現在、オミクロン株が世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルスだが、最新の研究によると、サメの免疫系に由来するタンパク質が新型コロナウイルスのみならず、他のウイルスにも予防効果があるという。
サメは強力な免疫機能の持ち主である。傷の治りも早く、感染症や癌にかかることもほとんどない。従来よりサメの免疫系に由来するタンパク質をいかに医学に応用できるか、研究が行われてきた。
現在、サメ軟骨は癌をはじめとする様々な病気の治療に活用されていて、米国食品医薬局(FDA)にも史上初の自然物質の治療実験薬として承認されている。
アメリカのウイリアム・レーン博士が癌細胞を移植した20匹のマウスの半数に、サメ軟骨粉末を混ぜたエサを与え、半数に通常のエサを与えて7週間経過を観察した。結果、通常のエサ投与の同マウス10匹は2匹が死亡したのに対し、サメ軟骨粉末を混ぜたエサを与えたマウスは全個体生き延びた。
他にもサメ軟骨に含まれるコンドロイチン硫酸が、心筋梗塞、脳卒中、癌、肝疾患、関節炎、神経痛、腰痛や肩こりなどの改善、毛髪増量、皮膚のシミ取り、視力回復、免疫増量などに効果があるとされる。さらに、免疫機能を低下させない鎮痛剤にも活用されている。
さて、今回の研究は2021年12月16日の科学雑誌「Nature Communications」に米ウィスコンシン大学マディソン校の病理学者アーロン・ルボー教授が発表したものだが、テンジクザメ目コモリザメ科(Ginglymostomatidae)のサメの免疫系から抽出されるタンパク質「サメ可変新抗原受容体VNAR」が新型コロナウィルスを無力化する効果が推定されるという。
「サメ可変新抗原受容体VNAR」の大きさは人間の抗体の10分の1で形態も変えられるために、人間の抗体が届かない細胞の隙間に進入し、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質(人体の細胞に付着するトゲトゲ部分)に結合できるという。
スパイクタンパク質を封じてしまえば、新型コロナウイルスは感染力を失う。
新型コロナウイルスが変異しても、溝の形状は類似している為、将来的に研究が進めば新型コロナウイルスの予防薬に応用できるかもしれない。
「サメ可変新抗原受容体VNAR」は人間の抗体よりも安く簡単に作ることができて、さらにワクチンより人体への刺激も弱いのでワクチンを接種不可能な人にも適しているといわれる。
具体的にどのような形で活用していくかは今後の研究課題となるが、将来的に新型コロナウイルスから人類を守る待望の救世主になるかもしれない。