「546」ある寿司の米粒を組み立てる狂気のプラモデル ”史上最高難易度”新作は「販売するか迷った」

松田 和城 松田 和城

 米粒1つ1つを接着剤でくっつける寿司のプラモデル「寿司プラモ」のシリーズ最新版「かっぱ巻き」が昨年12月22日に販売された。二切れ合計546もの米粒をきれいな円筒型に組み立てる必要がある”史上最高難易度”と評されている。制作元の秋東精工・藤原千誉氏(29)は試作段階で感じた難易度の高さに「販売するか迷いました」と明かした。

 ピンセットで米粒をつまみ、中央のキュウリを囲むように地道に接着していく作業が続く。最後に黒のりで巻くことができるよう形、大きさに気をつけなくてはならない。開発段階で何度も試作を重ねた同氏でも完成に1時間を要した。悩んだ上、難しさを求める層に需要があると判断。販売に至った。

 そもそもなぜシャリ部分を細かく分けたのか。「リアル感を出したかったのが1番にありました。加えて、そのまま普通に作っても面白くなく、SNSとかでバズる要素がほしいなと思いこの形を取りました」と振り返った。狙いは的中。昨年4月、シリーズ第1弾販売をつづったツイートは1万70000リツイートを超えた。お笑いコンビ「よゐこ」の公式ユーチューブチャンネルで2人が組み立てに挑戦する様子が配信されるなど話題を呼んだ。

 これまで、マグロ、サーモン、いくらと3種類のネタを販売してきた。各シャリ部分は364粒。実際に、本物の寿司を購入し、ピンセットで数えた数をそのまま反映した。説明書は封入されていないが、その分自由度が高いのが魅力と同氏は語る。「例えば、高級なお寿司屋さんのお寿司ってシャリが小さいイメージがあります。それを作ろうと、364粒全てをあえて使わずに再現した方もいました。皆さんこだわりを持たれていているので、見ていて僕らも楽しいです」と笑顔を見せた。完成品は人によって大きく異なるという。

 リアルさを再現する上で苦労したのは「色味」。おいしそうに見せるため米粒の半透明さやまぐろの赤身のつや感などの再現に力を入れた。「透明な樹脂に対して粉を混ぜて色味を再現するんです。粉の配分で色が大きく変わってくるので、よりリアルな色に近づけるように何度も試行錯誤を重ねました」と説明した。

 これまでマグロのプラモだけで累計8000個以上を販売。コロナ禍での「おうち時間」増加に加えて、同商品の話題性に興味を引かれ、初めてプラモを購入した人が多くみられるという。「新しい趣味として提供できたのがうれしかったです。プラモ好きだけでなく、プラモをやったことがない人にも買っていただきたいですね」と話した。

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