日本一多忙な88歳!?高木ブーが豪華メンバーとライブでボヤキ節さく裂 来春、卒寿公演も

北村 泰介 北村 泰介
会場で一体となった高木ブー(前列中央)ら「1933ウクレレオールスターズ」のメンバーやゲスト出演の芸人ら=都内
会場で一体となった高木ブー(前列中央)ら「1933ウクレレオールスターズ」のメンバーやゲスト出演の芸人ら=都内

 ザ・ドリフターズの高木ブーが88歳にして多忙な師走を過ごしている。自身が率いるバンド「1933ウクレレオールスターズ」のライブが16日夜、都内で開催され、サザンオールスターズの関口和之、歌手・荻野目洋子、ギタリストの野村義男らのメンバーと共にウクレレ演奏と歌声を響かせた。ライブの模様とともに、高木が明かした近況などをリポートする。

 バンド名の由来は高木が生まれた「1933年」。7人のメンバーにはそれぞれ「役職」が付き、関口は「キャプテン」、野村は「ウクレレ王子」、荻野目は「歌姫」、口笛奏者の分山貴美子は「口笛女王」、はたけやま裕(パーカッション)は「カホン家元」、ヤナギマン(ベース)は「バンマス」、そして、高木は「象徴」。バンドのシンボルだ。

 象徴さんの入場前、メンバーはオープニングでウクレレ版「ロッキーのテーマ」を演奏しながら、合間にヴァン・マッコイの「ハッスル」を織り込む遊び心を披露。荻野目は自ら作詞作曲した「虫のつぶやき」をウクレレで弾き語り、野村のウクレレによるインストなどを経て、高木がサンタクロース姿で登場した。

 「もう来年になっちゃう。早いもんだ。何にもしないで終わっちゃったような気がする」。MCで、高木のボヤキ節がさく裂した。関口に「この中の誰よりも忙しいですよ。大みそかも、ももクロの歌合戦でしょう」と指摘され、高木は「知らないうちにそういうスケジュールになって。今回のライブもだけど、こういうのがないと生きてる気がしないんだよね」と気を取り直したと思いきや、「でも、やること何にもないんだよ」とぼやき、野村が「いやいや、忙しいじゃないですか!やることいっぱいですよ」とツッコミ。半世紀以上も笑いの世界に身を置いた天然のボヤキ芸は健在だった。

 実際のところ、高木の年末は忙しい。11月に日本武道館で開催された「ドリフ&ももクロライブフェス」を終え、12月に入ると今回のライブに向けたリハーサルが続いた。27日には夜9時からフジテレビ系で「志村けんとドリフの大爆笑物語」が放送。撮影初日には現場まで激励に行き、別の日には仲本工事と共にドリフを演じた俳優と雑誌で対談するなど、現役最年長メンバーとしてドラマと密接に関わる。大みそかには「第5回 ももいろ歌合戦」に出場し、「日本武道館に出演した最高齢アーティスト」の記録更新も期待される。

 緊急事態宣言の解除から活動再開となったが、この1年をトータルで振り返ると、コロナ禍の日々は身に染みた。「僕、コロナで礼儀正しくなったんです。テレビ局に行っても、みんなマスクしてるから誰が誰だか分からないんで、会う人みんなにお辞儀して、礼儀正しくなったの(笑)。だから、僕は考えた。顔が分かるように、こういうのを作ったらいかがでしょう」と、鼻と口が描かれたマスクを取り出して自ら装着し、荻野目も「笑ってる!すごいですね」とリアクション。会場も沸いた。

 さらに、高木は近況を語った。「回りに『何やってるの』って聞かれるけど、毎日やることないからテレビ見てる。時代劇が好きで、『鬼平犯科帳』とか、チャンバラのテレビをよく見ます。若い人は行くところがあるけど、俺みたいに年を取るとそれしかないんでね」。関口に「お話は尽きませんが、そろそろ曲いきませんか」と促されると、高木は「僕はすごく楽しい。うれしい。みなさんの前で歌えるということが!」と感謝の声を上げ、「ブルーハワイ」を熱唱した。

 さらに、父の芸能活動と日常生活を支える高木のひとり娘・かおるさんをイメージして関口が作った歌「パパの手」も披露。高木が「曲をいただいて完璧に覚えるのが大変。悩んだ」と明かすと、関口が「今までで一番良かったです」と絶賛し、拍手の中、「涙そうそう」などのレパートリーが続いた。

 アンコールとなり、関口は「僕は40数年、バンドでベースを弾いていまして、湘南の方では人気なんですけど、東京では知らない人も多いと思います。そのバンドの曲をやります」と、高木に負けずにボケると、サザンオールスターズの「YaYa あの時代(とき)を忘れない」をウクレレ演奏。続いて、メンバーから目配せされた高木が「やっちゃう?」と聞き返し、関口の「いってみよー!」の掛け声と共にババンババンバンバンの大合唱。「いい湯だな」で大団円となった。

 関口は「来年3月に高木ブーさんは89歳になります。その頃に、また、ライブを、たぶん、横浜あたりでやりたいなと思っていますので、ぜひチェックしておいてください」と告知。先のことは分からない時代であるが、関口は「笑顔だけは忘れずに」と前を向いた。実現すれば、卒寿祝い(満89歳、数え90歳)となる公演。高木は「人前で歌える」という幸せを舞台でかみしめていた。

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