プロゲーマーにも筋トレが必要な理由 現役eスポーツ選手が明かす

松田 和城 松田 和城

 ”引きこもり”のイメージから「不健康」な側面が懸念されるeスポーツアスリート。しかし、パズルゲーム「ぷよぷよ」の日本eスポーツ連合公認プロプレーヤー・ぴぽにあ氏は、週2回ジムに通い1時間のフィジカルトレーニングを行っている。運動が与えるゲームパフォーマンスへの好影響を明かした。

 昔から「緊張するタイプ」と明かした同氏は、プロになった当初から緊張を克服するため悩んでいたという。試行錯誤を重ねた結果、運動した際の心拍数の上昇具合が、緊張時と似ていることに気づいた。「ドクドクなった状態でもある程度正常に脳みそが使えるか超重要なんです。身体を動かすことによってその状態を普段から経験できる」と話した。

 他にも純粋な体力面での効果も実感している。大会によっては一日中対戦するものも。疲労で最後まで集中力が持たなくなる可能性があるため「最後の踏ん張りが効くという意味でも、身体を鍛えるの大切だと思います」と自身の見解を示した。

 同氏は、朝8時起床0時就寝の規則正しい生活を送っている。一方で、「プロゲーマー」に付きがちな不健康なイメージについては「ゲームっていうのは、家の中でずっとやっている部分も実際あるのでしょうがないことなのかなと思います。eスポーツという単語も最近できたばかりで表向きにも『ゲームやっているだけ』っていう認識もたぶん強いと思います」と理解を示した。

 「eスポーツ元年」と呼ばれる2018年には「日本eスポーツ連合(JeSU)」が発足。国内初となる優勝賞金1億円の大会が開催されるなど、徐々に市民権を得てきたが、まだ完全には”文化”として根付いてはいないという。「今後、発展していくと、表に立つことを意識する人も増えてくるはずです。そういう風になっていくと自然とそのイメージはなくなるんじゃないかなと思います」。自身は、すでにプロとして大会出場の他に動画配信、地方出張での講演・講座、各種イベントの参加など多岐にわたる活動を行っており、”見られる立場”であるため、太りすぎないよう食生活にも気を付けているという。

 また、「ぷよぷよ」を教材としたプログラミング講座「ぷよぷよプログラミング」の講師として、昨年12月から全国各地の学生に指導を行っている。「ぷよぷよ」のゲームを作る過程を体験し、楽しくプログラミングを学ぶことができるという。これまで1000人以上の生徒の反応を目にし、「見てる限りは、本当にみんないい表情をしています。実際にコードを書いて、すぐ動きが見えるってそれだけで面白いんです」と笑顔を見せた。指導後のアンケートでは、プログラミングに興味を持ったという生徒の回答も多く手応えを感じている。

 選手として大会での活躍はもちろん、30年目を迎えた同界隈への貢献も目標に上げた。「ぷよぷよの未来がもっと見たいんです。将来、若い子たちがぷよぷよをやってくれる。『全力でやっていい』って思ってくれる世界になってほしい。ぷよぷよがもっと大きくなるような活動をしていきたいと思います」と”先駆者”としての信念を語った。

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