オミクロン株は新型コロナの「弱体化」版なのか…海外の識者が現状語る

海外情報 海外情報
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が世界的に拡大し、ワクチンの有効性が著しく損なわれる可能性が不安視されている。11月27日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が世界的に拡大し、ワクチンの有効性が著しく損なわれる可能性が不安視されている。11月27日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が世界的に拡大し、ワクチンの有効性が著しく損なわれる可能性が不安視されている。

しかし、オミクロン株の全面解明を急いでいる科学者の一部からは、同株の症状が従来株よりも軽症なのではないか、との疑問も持ち上がっている。科学者らは結論を導くのは時期尚早だとくぎを刺しているが、現時点で分かっていることを以下にまとめた。 

データが示す感染例

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、重症度を含めて情報が報告されている欧州の感染例70件を見ると、半分の患者は無症状、半分は軽症だった。

重症、入院、死亡の例はなかった。だが、ECDCは、感染症の全体像を正確に見極めるには数百人分のデータが必要であり、数週間かかると推定している。加えて、欧州でこれまでに確認された感染例は、大半が2度のワクチン接種済みの若い世代であり、重症化しにくい層だ。

オミクロン株の感染が急拡大している南アフリカでは、新型コロナに再び感染した、もしくはワクチン接種完了後に感染した患者の症状は軽い様子だ。

オミクロンは「弱体化」版か

科学者らは、オミクロン株を解析するための臨床研究を進めている。オミクロン株には従来株に見られなかった変異が約50カ所にあり、うち30カ所以上はウイルスが人の細胞に侵入する際に使う「スパイクタンパク質」。現在使用中のワクチンは、このスパイクタンパク質を標的にしている。

ペン免疫学研究所(米フィラデルフィア)のディレクター、ジョン・フェリー氏は「一般的に、ウイルスは多くの変異を積み重ねると、ある程度強さを失う」と解説する。オミクロン株の変異の一部はウイルスの侵入能力を損なわせ、スパイクタンパク質の行動を変えている可能性がある、とフェリー氏は言う。

一部の科学者は、オミクロン株が南アで、エイズウイルス(HIV)患者など免疫不全のある個人の中で数カ月かけて進化してきた、との仮説を立てている。そうだとすれば「ウイルスはこの宿主を殺さないように順応してきたことになる」と、フェリー氏は言う。

これに対し、オミクロン株は、ある動物を宿主として進化してきたとする仮説もある。

オミクロンは支配的な株になるのか

オミクロンを巡るもう1つの重要な疑問は、デルタ株に置き換わるか否かというものだ。デルタ株は今でも、世界中で確認された感染例の圧倒的多数を占めている。

オミクロンが支配的な株に置き換わるが、症状は軽くなるとすれば、このウイルスが最終的にインフルエンザのような季節性の脅威と化す転換点になるかもしれない、とスクリップス研究所免疫学微生物学部(米サンディエゴ)の感染症研究者、スミット・チャンダ氏は言う。

欧州のECDCは2日、オミクロン株が数カ月中に欧州で新型コロナ感染の半分以上を占める可能性がある、と予想した。

オミクロン株の研究は進行中だ。感染症専門家らは、その間もワクチン接種、追加接種、屋内や混雑した場所でのマスク着用、室内の換気、手洗いといった警戒を怠るべきではないと話している。(ロイター/よろず~ニュース)

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース