大江山鬼伝説アニメ仰天アレンジの狙いとは 和歌詠み上げ場面はラップバトルに 

松田 和城 松田 和城

 京都・福知山市は6日、大江山鬼伝説をアニメ化したWEB動画「転生したら鬼退治を命じられました」をユーチューブなどで公開した。6分50秒の動画は、全24話が各15秒の予告編風にまとめられ構成。同市出身で脚本・デザインを担当した審良聡太郎氏が、同企画のこだわりを明かした。

 大江山鬼伝説は、平安時代中期に生まれた武将・源頼光率いる「頼光四天王」が丹波国大江山へ向かい、最強の鬼・酒呑童子ら鬼の一味を討伐する物語。動画では、ごく普通の社会人が源頼光に転生し「鬼退治」に挑むストーリーが展開されている。平安時代と現代とのギャップがおもしろおかしく描写された。

 伝説が記された「酒呑童子絵巻」から、鬼と和歌を詠み合うシーンを現代風にラップバトルにアレンジするなど、視聴者を飽きさせない工夫を凝らした。「歴史物語を、勉強チックにすると眠たくなってしまう可能性があると思いました。各話ごとに〝おもしろポイント〟を作ろうということでコメディー風になりました」と説明した。

 企画開始は約半年前。京阪神のアニメファンが福知山市に関心を持つよう、主人公は、和歌山県出身の声優・小西克幸が担当。「『京阪神の都市部に住んでいるサラリーマンが転生したら』という設定があります。小西さんは自然な関西弁ができてすごく良かった」と振り返った。鬼に関連して言えば、小西は「鬼滅の刃」鬼殺隊の主力である柱・宇髄天元を演じている。

 絵巻物が展示されている「日本の鬼の交流博物館」でも、小西同様に「鬼滅の刃」との関連がある。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開翌月にあたる昨年11月、同館の来場者数が約2・5倍に増えたという。”鬼ブーム”をきっかけに「アニメを入口にして、福知山市や歴史に関心を持つ人が増えてほしい」と期待を寄せた。

 福知山市では今回のWEB動画プロジェクトなど、2023年に迎える同館30周年に向け、さまざまな企画を実施する予定。ふるさと納税型クラウドファンディングは今月7日に始まり、支援者を募集する。WEBアニメに使用された「酒呑童子絵巻」の上・中・下の三巻は、今月21日から再来年2月まで毎月交代で展示される。

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