歌舞伎の人間国宝 中村吉右衛門さんが77歳で死去

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
中村吉右衛門
中村吉右衛門

 文化功労者、人間国宝の歌舞伎俳優の中村吉右衛門(本名・波野辰次郎)さんが11月28日に都内病院で死去していたことが1日、分かった。77歳。死因は心不全。葬儀・告別式は親族葬で行われる予定。松竹が発表した。

 時代物では「勧進帳」の弁慶、世話物では「法界坊」などで知られる。人気テレビドラマ「鬼平犯科帳」では長谷川平蔵役を1989年から2001年までの9シリーズで務めた。「ネスカフェ ゴールドブレンド」のCMでは“違いが分かる男”として登場し注目を集めるなど、お茶の間にもおなじみだった。

 吉右衛門さんは今年3月28日、歌舞伎座の舞台に出演後、ホテルで体調不良を訴え、病院に救急搬送されてた。心臓発作と発表され、療養が続いていた。

 吉右衛門さんは八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)の次男。のちに母方の祖父、初代中村吉右衛門の養子となる。1948年6月、東京劇場『御存俎板長兵衛』の長松ほかで中村萬之助を名乗り初舞台。66年10月に帝国劇場『祇園祭礼信仰記 金閣寺』の此下東吉ほかで二代目中村吉右衛門を襲名した。歌舞伎界を代表する立役の一人として深い人物造形と巧みな台詞術で魅了し、『熊谷陣屋』熊谷直実、『仮名手本忠臣蔵』大星由良之助、『菅原伝授手習鑑』松王丸、『梶原平三誉石切』梶原平三、『一條大蔵譚』一條大蔵長成、『盛綱陣屋』佐々木盛綱、『俊寛』俊寛僧都、『籠釣瓶花街酔醒』佐野次郎左衛門、『天衣粉上野初花』河内山宗俊、『極付幡隨長兵衛』幡隨院長兵衛、『勧進帳』武蔵坊弁慶など数々の当り役を持つ。

 初代中村吉右衛門の俳名、秀山(しゅうざん)にちなみ、生誕 120 年を記念して2006年 9 月から始まった「秀山祭」では、初代以来の当り役に挑むほか、次世代を担う後進の指導も行う。また、先祖所縁の松貫四(まつかんし)の筆名で数々の作品で脚本などを手掛ける。06年から12年まで文化庁の舞台芸術体験事業に参加し、全国各地の小学校をまわり、小学生に歌舞伎の楽しさを伝える活動も行う。映像作品ではドラマ「鬼平犯科帳」に1989年から2016年まで、実父の初代白鸚も演じた長谷川平蔵役で主演し、人気シリーズとなる。最後の舞台は今年3月歌舞伎座『楼門五三桐』石川五右衛門。

 1984年芸術祭賞優秀賞、日本芸術院賞、2002年日本芸術院会員、02年度芸術祭演劇部門大賞、11年重要無形文化財保持者各個認定(人
間国宝)、17年文化功労者。20年日本放送協会放送文化賞。13年より公益社団法人日本俳優協会専務理事。

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