7月に無免許で当て逃げ事故を起こし、道路交通法違反で在宅起訴された東京都議会の木下富美子議員が22日、東京都庁で会見を行い、議員辞職の考えを明らかにした。木下都議は辞任に追い込まれた状況について「理不尽な現実」と無念さをにじませ、同席した代理人弁護士も、木下都議の委員会出席を拒絶した都議らについて「イジメだ」と強い口調で非難した。
木下都議は今月9日、体調が回復したとして、都議会の正副議長への経緯説明および公営企業委員会への出席のため登庁した。だが、委員会に先立つ理事会に参加予定だった自民、公明の都議が木下都議の参加に反発して退席。委員会は流会となった。
こうした動きに、木下都議の代理人弁護士は「議会に呼んでおき、ボイコットするというのは、仕事をさぼっているというのはどちらも同じだと思わざるを得ません」と断罪。また、木下都議が2度にわたって〝無視〟する形となった議員辞職勧告についても「あくまで勧告であって、強制力はございません。議員を辞職するかどうかの判断は議員自身の判断によるものと理解しております」と強調した。
さらに、不祥事を行った議員を辞職させることができるのは、被選挙権を失った場合、リコールが成立した場合、除名処分を受けた場合のみだとし、「裁判で実刑判決が確定しなければ、木下は被選挙権を失うことはない」とキッパリ。除名処分についても、多数派が少数派を安易に排除することがないように設定されているとし、「議会や委員会等でイジメ行為をするのではなく、法律上の適正な形で法整備を進めたらいかがでしょうか?学校や職場で見られるイジメの構造と同じで、イジメの撲滅を訴えている議員の方々の日ごろの信頼性が損なわれる」と厳しく批判した。
木下都議も「法律による議員の身分保障は民主主義の根幹。仕事がしたくて議員継続を望んでいるにもかかわらず、議員として十分に仕事をさせてもらえない『理不尽な現実』に悩みました」と熱弁。「理不尽」の内容については「辞職勧告決議は勧告でしかなく、法的強制力はない。失職となる罪については法律できちんと決まっており、判決が下されるまでは推定無罪が憲法で保障されている」とした上で、「私が出席しようとすれば議会運営が止まるということが起こりました。私も過去4年間、都議会での動きを見てきた1人としましては、私が出ようとする限りこれが続いてしまうんだろうな…と想像してしまいました」と、都議会他派の動きに不快感を示した。