コロナ禍で進化するシネコン産業 ミュージシャン参加の音響設備も 映画館の特徴ないと観客動員は厳しく

伊藤 さとり 伊藤 さとり
TOHOシネマズセブンパーク天美のプレミアムシアター
TOHOシネマズセブンパーク天美のプレミアムシアター

 まだまだコロナ禍ではありつつも、映画界では“秋は映画祭”シーズンであり、今年は例年以上に新しい映画祭が至る所で開催されています。中にはコロナ禍での緊急事態宣言により休館を余儀なくされ、その間に配信の普及もあり、映画館への客足が遠のいたことから、映画館自体が新たな取り組みとして立ち上げた映画祭も存在します。

 今年から開催された「10万分の1秒の音響映画祭」は、大手シネマコンプレックスを運営する東宝シネマズ株式会社がリニューアルしたTOHOシネマズ日比谷のプレミアムシアターの素晴らしさを広めるために企画された映画祭です。オープニング上映の井之脇海、松本穂香、山崎育三郎出演による京都を舞台にした音楽映画『ミュジコフィリア』を皮切りに、クイーン・オブ・ソウルという異名を持つアレサ・フランクリンの半生を描いた『リスペクト』まで、新旧の音楽映画、ライブ映画を25作品上映し閉幕。その企画が好評を博し、11月17日に大阪にオープンするTOHOシネマズセブンパーク天美のプレミアムシアターでも開催が決定したのです。

 実はこのシアター、音の単位にまでこだわりスピーカー同士の遅延を極限まで解消した音響体験が出来るライブにも最適な環境が整っています。その理由の1つは今回の音響に『LOVE PSYCHEDELICO LIVE THE GREATEST HITS 2020』が上映されるアーティスト・LOVE PSYCHEDELICOのNAOKI氏も関わっているから。彼らがコロナ禍によりライブも行えず悩んでいた時に東宝からの声がけで映画館の音響設備に参加。ならば映画館でライブもやろうとTOHOシネマズららぽーと立川立飛で人数限定のライブを開催したことがきっかけだったそう。

 確かにコロナ禍となり、今まで以上に映画館の特徴を押し出さないと観客が集まらない状況です。東京では、先に「極上音響上映」を売りとして映画を楽しむ独自のサウンドシステムを取り入れた立川シネマシティや、国内最大のIMAX超大型スクリーンと日本初の体感型シアター4DX with ScreenXを持つ池袋のグランドシネマサンシャインが名物になりつつあります。更に11月26日には丸の内ピカデリーがリニューアルされ、関東では初の1面300インチの可動式スクリーンを3面配置するシアターがお目見え。このシアターではあたかもその場にいるような臨場感を味わえるのです。

 今やシネコンは様々な映画を上映する場だけでも鑑賞する場でもなく、「体感する場」に変わりつつある予感がします。これからは「個性際立つ映画館」が観客に選ばれる理由になっていくのかもしれません。是非、これを機会にあなたの好みにあった映画体験が出来る劇場を探してみてはいかがですか?

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