日本ゲーム大賞アマチュア部門 「ウニィ研究所」が大賞「10の体験のために100のおもてなしを感じる」

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
「ウニィ研究所」のタイトルロゴ
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 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(会長:早川英樹)は2日、日本ゲーム大賞2021「アマチュア部門」に「※スタッフが美味しくいただきました」(HAL大阪)が制作した「ウニィ研究所」を大賞に決定した。大賞のトロフィーと副賞50万円が授与される。今年のテーマは「メビウスの輪」。応募総数493作品から一次審査で99作品、二次審査で12作品、そして最終審査を経て10作品が受賞し、大賞ほか各賞を発表した。

 「ウニィ研究所」はウニの形をした謎の生命体「ウニィ」を操り、ステージ上のクリスタルを全て破壊していくアクションパズルゲーム。テーマ「メビウスの輪」から「上下左右が反転」、「ループする」という2つの特性に着目。プレイヤーは、上下左右が反転した2つのステージを操作し、ループポイントを探してひと続きになったステージにウニィを解き放ち、クリスタルを一気に破壊する。2つのステージがどこでループし、どこにつながっているかを理解し、ウニィを転がし、一筆書きのようにクリアできた時の爽快感は抜群。直感的に理解可能なゲームシステムと多彩なギミックからなる奥深いパズル要素、そして背景を彩るグラフィックやサウンドで独特の世界観を見事に表現するなど、完成度の高い作品となっている。

 最終審査員を務めたコーエーテクモゲームス松下竜太氏「今回、最終審査の際も、ウニィには審査員全員が票を入れており、意見の出かたとしても『これは大賞が相応しいよね』という満場一致のものとなりました。大きな理由として共通していたのは、やはりその完成度です。完成度という言葉って全然簡単なものでなくて、ただ時間をかけてもたどり着けない厳しい道のりだと認識しています。素晴らしいゲームには素晴らしいアイデアやアートがもちろん存在していますし、ウニィも面白さの根底には間違いなくそれらがあります。ただ、それらをゲーム体験として成立させるためのデザインが道中にあって初めて、ゲームとして完成度の高いものになると思っています。で、このとき、ただ角をとって調整していくだけでは面白さが立ってこないので、そこでの取捨選択や力のかけどころの判断のためには、自分たちのゲームの魅力や持ち味を芯から理解した上で、客観的に実機ベースで現実に向き合っていく必要があります。ウニィ研究所は遊んでいるうちに、そこに泥臭くアプローチして、ユーザー目線で最後まで誠実に向き合っていた形跡が感じられました。ゲームに最後まで付き合ったプレイヤーに向けてのエンディングも素晴らしくて、ウニィでクリスタルを壊す行為をしていたはずが、普遍的で大きなテーマになっていくことで、プレイヤーが費やした時間を意味のあるものとして肯定する働きもありました。他にも言っても言い尽くせませんが、10の体験のために100のおもてなしを感じる、素晴らしいゲームでした。多くの方にとって忘れられないゲームになれると、胸を張って紹介できます。もうチームの皆さんにはゲーム開発に大切なことが備わっていると思いますので、今後のご活躍をとても期待しています。大賞、おめでとうございます!」

 最終審査員を務めたディー・エヌ・エー楠田芳晃氏「小気味よい演出、レスポンスも良く、繰り返し試行錯誤をして遊べる。気がつくと夢中になって遊んでいた作品でした。上下のループを生かして、リアルタイムにギミックを攻略するゲーム性は、失敗しても、次にこの方法を試してみようと考え、手軽に試せる心地よさは素晴らしく、完成度が非常に高い作品です。シンプルなゲーム性で、まず見せて体験させることで、ゲーム性を理解させる部分や、プレイを通して、プレイヤーに学習させようというレベルデザインも秀逸で、ゲームの完成度に大きく貢献しています。そのまま売り物にしても遜色ない作品に感じました。『アイデア』と『遊ばせ方の工夫』を両立させることは、なかなかプロでも難しい部分です。制作中に試作相互を繰り返して、たどり着いた結果だと思いますが、今後ともその情熱と経験をゲーム制作に生かしてください」

 「日本ゲーム大賞 アマチュア部門」は、法人、団体、個人、学生、一般を問わずアマチュアが制作されたオリジナルの作品を対象に募集。審査は、業界誌編集者、クリエイターによるプレイ映像の視聴審査(一次審査)、試遊による二次審査、そして発表授賞式のプレゼンターおよび各賞の講評を務める業界誌編集長とトップクリエイターによる試遊審査(最終審査)により、各受賞作品を決定する。

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