ヒントの数字がシンメトリーや対称形に整然と配置されたナンバープレイスは美しいものです。舌よりも先に目で楽しむ高級料理のように食指を刺激し、さぁ解くぞ!という気持ちにさせてくれます。
けれど、その美しさとパズル性はほとんど無関係。むしろ、見た目にキレイに数字を並べることで、反対に難易度は低くなってしまいます。美しさにこだわることでヒント数字を置く位置が制限され、作家が自由にマスをいじれなくなってしまうのです。
もともと海外のナンプレは、ヒントの数字を美しく配置するという意識はあまり高くありませんでした。空きマスは無作為に存在し、左右非対称な問題が多数を占めていたのです。しかし、それが日本に持ち込まれて以来、我が国のパズル作家たちは、いかに美的に数字を並べるかに腐心しました。
単にシンメトリーにするだけではなく、ハート型や星型にあしらってみたり、使う数字を限定して、その並びにリズム感を持たせてみたり。遊び心と熱意を持ってナンプレの可能性を広げていったのです。もちろん、それによってパズル性を落とすことなく、知恵と努力で、奥深い内容と美しさの両方を兼ね備えた良問を量産し続けたのです。
そのアレンジの素晴らしさは、ナンバープレイスが「数独」という別名で、全くの新作パズルあつかいで海外に逆輸出された事実が証明しています。加工大国・日本の面目躍如と言えるでしょう。