eスポーツ「不健康」のイメージは本当か?プロゲーマー40人と筑波大学による共同研究スタート

松田 和城 松田 和城

 筑波大学体育系助教の松井崇氏が16日、都内で行われたプロeスポーツチーム「REJECT」の事業戦略発表会に出席した。

 “引きこもり“のイメージから「不健康」な側面が懸念されることもあるeスポーツアスリート。しかし、eスポーツ自体が直接不健康につながるのではなく、長時間プレーに伴う生活習慣の崩壊、ジャンクフードの偏食による栄養障害、カフェインの過剰摂取による睡眠への負の影響による可能性が指摘されている。彼らの”高いパフォーマンスと健康”の両立に向けたスポーツ科学の開発を目的として、筑波大と同チームが共同研究を開始することを発表した。

 松井氏は、スポーツ科学の大原則として運動・栄養・休養の3つが重要と話す。適度な運動を行うことで、栄養・休養の効果が高まり身体の“基礎値”を高めることができる。では、eスポーツがその”適度な運動の代わりとしてどこまで置き換えることができるのだろうか。

 大学で学内ゲーム大会を開催し、参加者の心拍数や、勝つと自信が高まる“活力”に関係するホルモン・テストステロンの数値を測るなどの検証を進めた。結果について「eスポーツというのは、歩きながらたまに走るぐらいの心拍数が生まれていました。また、勝敗に応じて、翌日以降の活力ある生活を生み出すようなスポーツイベントとして十分役立ちそうだと分かった」と一定の手応えを見せた。

 ただ大学では、本気でeスポーツ選手を目指すような人はなかなかおらず、あくまで“遊び”としてゲームに触れる人たちのデータが集まった。「ハイパフォーマンスを引き出すスポーツ科学の大原則を考えていこうという取り組みが難しいと思いました。そこでREJECT様と組ませて頂いて、サポートを含めたような形で何か科学的イベントをつくっていけないかということを考えております」と説明した。

 本研究では、約40人のREJECT所属選手が生活・健康実態調査に参加する。eスポーツプレーヤーの生活・トレーニング習慣や健康状態と競技レベルの関係、プレー中の生理的、心理的特性が明らかになる予定だ。研究は9月8日からスタートし、約1年半にわたり行われる。

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