殺人の現場は、インテリア雑貨店だった。クリスマスシーズンということもあり、店先にはツリーの飾りや雑貨が並んでいる。その店の奥で、死体が発見されたのだ。
現場についた加茂警部は、まだ死体が残っているのに驚いて声を上げた。(図参照)
「なんだ、鑑識はまだ来てないのか?」。根木刑事が申し訳なさそうにうなずく。
「ひどい渋滞に巻き込まれて遅れているそうです。今は発見された時のままです」 「で、事件の概要は?」
「被害者は、店長の村西四郎。胸をナイフで刺されて死んでます。上井博実という女性店員の話では、犯人はサンタクロースだそうですよ」
「サンタが犯人!?」
「実は、この店はサンタ姿で宣伝するバイトを二人雇っています。名前は、東沢友也と筒田康士。二人のどちらかが、サンタ姿で店長を殺したんだとか…」
◆上井博実の証言 「私はレジ担当です。店長は店の奥にいました。すると、サンタ姿のバイトが帰ってきて店の奥に行ったんです。白いひげで顔が見えず、東沢君か筒田君かは不明でした。しばらくすると、大きな物音と怒声がして、裏口のドアがバタンと閉まる音もして…。奥に見に行くと、店長が血まみれで倒れていたんです。怖くて何も触らずに、110番しました」
◆東沢友也の証言
「僕は、サンタ姿で少し離れた駅前にいました。店長には客引きがヘタだと罵倒され腹がたちましたが、殺しはしませんよ。僕はナイフを持ってないし、それで人を刺す勇気もありませんから」
◆筒田康士の証言
「店員を馬鹿にする、ひどい奴だったよ。俺はサンタ姿が嫌で、脱いでサボってたんだ。だから裏口から逃げた犯人じゃないね。東沢と体型が似ていて、見分けがつかないとはよく言われたよ」
話を聞き終わると、根木刑事が「鑑識が着き、現場検証を始めます」と言ってきた。
「遅すぎるな。もう、現場の状況と証言から、犯人は分かったよ」と、加茂警部。
さて、警部が推理する犯人とその根拠は?