日本のインディーゲーム開発者を支援するインキュベーションプログラム「iGi indie Game incubator」(以下、iGi)が6月から本格的にプログラムを開始する。iGiの運営メンバーで株式会社ヘッドハイ代表の一條貴彰氏は「開発者が安心して情報交換できる」とプログラムの特長を語った。
iGiは今年発足したばかりのインディーゲーム専門インキュベーション(事業支援)プログラム。大手のゲーム会社に属さず〝独立〟した少人数のクリエイターによって作られるインディーゲームは「大手のゲームとは違う、尖った」内容で近年、注目を集めている。「週末の趣味として」、「主事業として」などさまざまなモチベーションの制作者がいる中で、iGiは「単なる趣味ではなくて、もっと事業的な成長を目指したいと思う方」を対象に6月から約半年間、オンラインでプログラムを展開する。
従来は同人イベントや展示会への出展を機に「パブリッシャー」と呼ばれる販売や宣伝を担当する会社と契約を結び、家庭用ゲーム機や海外向けストアへの販売に至るケースがあったというが、「ゲームが7~8割できているような段階で契約して配信しますというパターンがほとんど」だったという。一條氏は「ほとんど自力で完成まで持ってこられるような人にしか脚光が当たりにくかった」と説明した。
iGiでは技術面だけでなくマーケティング面、法務面の情報を提供し「クリエイターさんの目線に立ってさまざまなサポートを作っていく」という。自身もインディーゲーム制作経験のある一條氏がアドバイザーを、「インディーの現場でいろいろな修羅場をくぐり抜けてきた」クリエイターたちがメンターを務める。「当事者ですので、どのようなところに詰まりがちなのか、自分が何に困っているのか気が付かない部分にも提案ができるようなところ。そして何より、ゲームクリエイターさんがこういうものを作りたいと言って始まっていることを大切にする。そこがインディーマインドを理解したプログラム運営だと思います」。また、「クリエイターの事業的な成功を支える、パブリッシャーさんやマーケティング企業、投資家さんといったステークホルダーのハブとなる組織」を目指していると続けた。
インディーゲームは、大手にはない斬新なアイデアに富んだゲームとして注目されている。「尖った部分を削るとインディーとしての特長がなくなってしまうので、そうではなくて、マス(の土俵)に乗れるように、例えば海外販売するので他の言語に翻訳しましょうと。それからゲームビジネスをやるにあたっての法務部分、あるいはニュースリリースを配信しましょうというマーケティング部分とか。マスにたどり着くための道筋の部分を学ぶ機会を提供する」と話した。
クリエイターの増加に伴い、ゲームの制作手法はインターネット上で見られるものが増えたというが、「本格的に事業的な成功を目指そうとすると、いろいろな専門知識や技術が必要で、小規模なクリエイターが自分で情報収集できる範囲を超えてしまう」状況。「Webに出にくい情報もありますよね。ノウハウや機密情報に関わることとか」。販売実績など「ゲームのファンに見せるべきものではない」情報は公にされにくいという。「iGiがメンタリングプロセスをクローズドでやる、YouTubeで全部公開しますとかではないのはそういう面もある。開発者が参加チームと、そしてメンタリングされる方が安心して情報交換できる」と語った。