インディーゲームの醍醐味は「大手とは違う尖ったもの」 すごく深く刺さる“独自性”に魅力

 〝宇宙版人狼〟「Among Us」や〝稲を育てるアクションRPG 〟「天穂のサクナヒメ」など個性的な作品が流行し、少人数で製作されるインディーゲームが注目を集めている。インディーゲームインキュベーションプログラム「iGi indie Game incubator」の運営メンバーで株式会社ヘッドハイ代表の一條貴彰氏がその魅力を語った。

 インディーゲームとはIndependent gameの略で、大手のゲーム会社に属さず”独立”した状態で作られたゲームのこと。大手ゲーム会社では数百人単位でゲームを作るのに対し、1~数人のチームで開発から販売までを手がけるのが基本的なスタイルだ。

 一條氏は「プレイヤーさんも大手のゲームとは違う、尖ったものを求めているのかなと思います」と話す。大手のゲームは「非常にクオリティーが高く、そつなくまとまって毎日遊べる楽しい作品」である一方、クリエイターの独自性を表現するのが難しいという。「”この人”にしか作れないお話、ビジュアル、ゲームの遊び方というものはなかなか超大型ゲームでは出せないところ」で、それをインディーゲームに求める流れがあると明かした。

 「『こんなゲームは初めて見た』とか、『昔こんなゲームがあったけど、最近見ていなかったから復活してうれしい』とか、すごくパーソナルというか、個人の嗜好に細分化されたものを見つけれれるのがインディーゲームの強みだと思います。たくさんのプレーヤーに楽しんでもらうとなるとどうしても丸くなりがち。たくさんの人に楽しんでもらおうと考えていないというか、誰かにものすごく深く刺さる、音楽のインディーズに近いかもしれないですね」

さらに「ここ2~3年でインディーゲーム作りに挑戦する方、参加する方が非常に増えている」といい、 日本のクリエイター人口を約1万人と推定する。

 作り手としては「同じ嗜好を持った人に届けられる」ことに加え「自分の考えているものを突き詰められる」点も魅力だという。「会社に入ってゲームを作るとなると、しばらくは大きなゲーム作りの一部分で働いて、すごく昇進して、何十年か後にディレクターや総合プロデューサーになってやっとゲームを作ることができる」と現代のゲーム産業を説明。一方、インディーは「今すぐ作り始められるところ」が特長。高校生や40代の元サラリーマンクリエイターもいるという。

 一條氏も営業職の会社員からゲームクリエイターに転身した当事者。代表作「Back in 1995」は「3Dが出始めた頃のゲームが好きで、その味わいや絵作り、お話の作り方を現代に蘇らせようと考えたもの」。あえて粗い画像を作り、昔のゲームらしさを再現した作品だ。「これは本当に一般受けしない。マニア向けというか、『昔のゲームの画面がよかったよね』という人のためのゲーム」と説明する。

 全世界で年間1万本弱の新作ゲームが、ダウンロード販売のプラットホーム「steam」でリリースされるとも言われる。一條氏は「その中で売れるというのはほんの一握り。0.数%だと思う。リリースしたけど売れなくて、数十本だけでしたという方のほうが圧倒的に多いです」と明かす。

 しかし、ゲーム製作のモチベーションは人それぞれ。「『めっちゃ売るぜ』という人もいれば、『自分の考えたお話を完成させて遊んでもらいたい』という人もいるので販売数が絶対正義かというとそうでもないというのがインディーの面白いところですね」と笑顔を見せた。

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