アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の大ヒット御礼舞台挨拶が11日、東京・新宿バルト9で行われ、総監督の庵野秀明氏、監督を務めた鶴巻和哉氏と前田真宏氏、声優で主人公・碇シンジ役の緒方恵美氏が登壇。庵野氏は興行収入での自己最高の更新、初の100億円突破に意欲を示した。ファンに向けては解明されていない〝仕掛け〟の存在に言及した。
同作品では旧テレビシリーズ(1995年)の製作発表と旧劇場版の制作遅延に関する謝罪会見(97年)以来、一般向けでは初めて公の場に姿を現した庵野監督。「本日はありがとうございます。皆さんに直接お礼を言う最後のチャンスと思い、出ることにしました」とあいさつ。同作の累積興行収入は、上映1カ月でシリーズ最高を更新する70億円を突破。「本当にありがたいです。僕が総監督だった『シン・ゴジラ』(2016年、82.5億円)を超えてくれたら、僕のレコードになる」と関心を口にした。その上で「100億円に行くとアニメ業界の活性化につながる。エヴァはロボットアニメなんです。ガンダムですら100億円はいっていない。ロボットアニメで100を目指せるのは業界にとってありがたい」と語った。鶴巻氏からも「僕も庵野のレコードとして『シン・ゴジラ』は超えたいですね」と呼応された。
話題となったミニチュア模型やモーションキャプチャを活用したアニメ作り。庵野氏は「頭の中でできた画面ではなく、実際に存在するものを切り取りたかった。時間もお金もかかりますが、自主製作なので頑張れました。本当に大変なので…やらない方がいいです」と話すと、会場は笑いに包まれた。実写映画『シン・ゴジラ』で培った方法が生かされたという。該当箇所の製作を当初、鶴巻氏に託したことには「自分の頭の中だけで作っても面白くない。いろんな人の意見を重ね紡ぎたいのです」と説明した。
さらに、ファンが発見していない〝仕掛け〟の存在を披露した。「エヴァの画面は物語上必要なもの、絵として美しいもの、僕自身の人生に関わりのあるもの、メインスタッフが好むもので世界観をつくっている」と、画面上に〝小ネタ〟が散りばめられている点を明かした。その上で「ラストカットの実写場面ですけど、ものすごくお金をかけて僕が好きなものを1つ入れています。それに気付いていただけたら」と続けた。
最後の挨拶では椅子から立ち上がり、深々と頭を下げて感謝の意を表した庵野監督。万雷の拍手に送り出され、最初で最後のエヴァ舞台挨拶を締めくくった。
※国内興行収入100億円を突破した日本アニメ…『風立ちぬ』『天気の子』『崖の上のポニョ』『ハウルの動く城』『もののけ姫』『君の名は』『千と千尋の神隠し』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』