気温の低下や日照時間の減少が進むこの時期、「朝、なかなか起きられない」「体がだるくて学校に行きたくない」と訴える子どもが増えている。一般社団法人・起立性調節障害改善協会はこのほど、小学生~高校生の子どもを持つ保護者243人を対象に、「子どもの朝の不調」に関する調査を実施、結果を公表した。
調査によると、「時々ある(43.6%)」と「よくある(38.3%)」を合わせた81.9%が「朝起きづらい」と回答。ほとんどの家庭が“朝の不調”を実感していることが分かった。中には「毎日のように起きられない」と感じるケースもあり、単なる生活リズムの乱れにとどまらず、体調面の課題が背景にある可能性も考えられる。
「朝起きづらい」と感じ始めたのは、「小学校低学年以前(33.7%)」が最も多く、発症の低年齢化がうかがえる。起きづらくなった要因として考えられる生活習慣の変化を尋ねると、「就寝時刻が遅くなった(28.6%)」「スマホやタブレットを持つようになった(17.2%)」「ゲーム時間が増えた(12.1%)」など、夜型化を招く生活習慣が上位に挙がった。
朝の不調の具体的な症状では、「朝起きられない/午前中に体調が悪い(29.5%)」「倦怠感・疲れやすさ(15.1%)」「集中力の低下(12.4%)」「頭痛(6.5%)」などがあり、心身のバランスが乱れている兆候が読み取れる。また、半数以上が「季節による変化はあまりない」と答えつつも、4人に1人が秋冬の不調を実感している。
今回の調査から、「朝起きづらい」傾向は中高生に限らず、小学生のうちから現れていることが明らかになった。背景には、就寝時刻の遅れや、塾・習い事による生活リズムの変化など、子どもたちの生活環境の変化が影響していると考えられる。また、寒暖差や日照時間の減少といった季節要因が“不調の引き金”となるケースも見られ、生活リズムと環境ストレスの両面から体調が崩れやすい時期があることも示唆された。こうした症状の背景には、自律神経の働きが乱れる「起立性調節障害」が関わっている場合もある。「朝起きられない=怠け」ではなく、成長期に現れる身体のサインとして理解し、早めの気づきとサポートを行うことが大切だ。家庭や学校での理解を広め、子どもたちが無理なく回復に向かえる環境づくりが求められている。
代表理事の竹田浩一氏は「『朝起きられない』という訴えの裏には、体のSOSが隠れていることがあります。思春期はホルモンバランスや自律神経が大きく変化する時期で、特に小学生から中学生にかけては、生活環境の変化やストレスの影響を受けやすくなります。朝の不調が続くときは、叱ったり無理に登校させたりせず、まずは休ませる勇気と観察する姿勢を持ってください。一人で抱え込まず、時には医療機関や専門家へ相談することも、子どもにとって大切な支えになります」と話す。