中学受験では、時事問題の出題が定番となっている。秋ごろに発売される「重大ニュース」系の問題集で直前に対策するのも1つの方法だ。ただ筆者の家では、そうした対策に加えて、日ごろからニュースや社会の出来事に自然と触れる機会を持つことを大切にしてきた。
そうした日常的な関心づくりに役立っているのが新聞だ。現在は『毎日小学生新聞』を定期購読しているが、以前は『朝日小学生新聞』を読んでいたこともある。特にどちらか一方に強くこだわっているわけではなく、紙面に少し飽きてきたと感じたときに、もう一方に切り替えるといった使い方をしている。
また、以前は小学生新聞だけだったが、今では高校受験を控える中学3年生の長女と、大学受験を見据える高校1年生の長男に合わせて、『読売中高生新聞』と『Asahi Weekly(朝日ウイークリー)』も購読している。受験対策として取り入れてはいるものの、たとえ結果的に受験しないことになったとしても、社会に目を向ける習慣は子どもにとって大きな財産になるだろう。
新聞を日常に取り入れる工夫としては、とにかく「自然に目に入るところに置いておく」ことを心がけている。常にダイニングテーブルの上に出しておき、次の号が届いたら入れ替えるのだ。
とはいえ読むか読まないかは子ども次第で、毎朝の習慣になっているわけではない。それでも、いつでも手に取れるようにしておくことで、読むきっかけをつくりやすくなると思っている。
また、気になった記事を切り抜いて、トイレの壁に貼ることも欠かせない。これはもう5年以上続けている習慣だ。ポイントは、毎日貼り替えること。長く貼りっぱなしにしていると、壁の一部のようになってしまい、子どもの視界に入らなくなる。毎日新しい記事に入れ替えることで、いつも新鮮な気持ちで見られ、「今日はどんな内容だろう?」と自然とチェックするようになる。
新聞は、わざわざ読もうとしなくても、ふとしたときに目に入り、自然と手が伸びる存在であってほしい。家庭の中で、「あって当たり前」「気づけばそこにあった」くらいの距離感を保つことが大切だと思う。
さらに、面白そうな記事を見つけたときは、積極的に話題にしている。筆者から子どもに「〇〇だって」と声をかけることもあれば、夫との会話で触れることもある。その際は、ただ情報を伝えるだけでなく、それについて自分はどう思うか、それぞれの意見を交わすことを意識している。
ニュースの内容そのものを子どもに覚えてほしいわけではない。大切にしたいのは、ニュースに関心を持ち、家族の会話の中で自分の考えを自然に言葉にできるようになること。それが特別な場面ではなく、日常の一コマとして根付いていってくれたらと願っている。
「新聞」と聞くと堅苦しいイメージを持つ人もいるかもしれないが、小学生・中高生向けの新聞は、その年代の読者が興味を持てるよう、内容や構成に多くの工夫が凝らされている。漫画はもちろん、クイズや読者からの投稿コーナーなどもあり、楽しくて読みやすい。
それが手頃な価格で、しかも毎日自宅に届くのだから、他の教材と比べてもコストパフォーマンスが高いと感じている。塾に通わず家庭で受験を進めるなかで、「親ができる環境づくり」として、まず取り入れてよかったと思えるアイテムのひとつである。
<プロフィール>
野田 茜
2男1女のママライター。2022年、高1長男が完全塾なしで中学受験をし、偏差値(四谷大塚)60半ばの中高一貫校へ進学。現在、小5次男が通信教材を利用し自宅学習で中学受験に挑戦中。自身は中学受験未経験で大学まで公立育ち。中学受験の問題の難易度にまったく歯が立たず、逆に子供に教えられる。「ママ、教えてあげよっか?分かる?」と次男に心配される日々。