akiya_b

青信号だと…運転中に急ブレーキ!「歩車分離式」の信号機でドライバーが戸惑う理由とは【専門家が解説】

夢書房 夢書房

会社員のAさんは、休日に家族を車に乗せて普段は通らない道を運転していた。片側2車線の大きな交差点で赤信号のため先頭で停車し、信号が青に変わるのを待っていた。

しばらくすると、交差する側の車の流れが止まり、周囲の歩行者が横断歩道を渡り始めた。Aさんは「次はこちらが青だ」と思い込み、正面の信号を十分に確認しないままアクセルを踏んだ。しかし車が動き出した直後、右側の横断歩道から自転車が進んできたため、Aさんは慌てて急ブレーキを踏む。どうにか事故を免れたAさんが顔を上げると、正面の車両用信号は赤のままだ。

Aさんの目の前の信号は、歩行者と車両の通行時間を分ける「歩車分離式信号」だった。帰宅後に調べてみると、歩車分離式信号は人身事故が約4割、人対車両の事故が約7割減少させる効果があるらしい。ただこの信号に対してJAFは、一般的な信号機と勘違いして車や歩行者がうっかり進入するケースがあるとして注意を呼びかけている。

これを見たAさんは、自分が信号をしっかり確認しなかったことは反省しつつも「なんで事故数は減少している信号なのに、うっかり侵入してしまうんだ?」と疑問を抱いた。この疑問について、交通心理学の専門家である中井宏さんに聞いた。

周囲の動きから「次は自分が青」と思い込む理由

―歩車分離式の交差点では、なぜ周囲の信号や歩行者の動きから「次は自分が青だ」と思い込み、発進してしまうことがあるのでしょうか?

運転は経験を積むほど、多くの動作を無意識に処理するようになります。普段の交差点で、交差する側の信号が赤になったのを見て「次は自分が青だな」と予測する経験を繰り返していると、同じ予測が別の交差点でも働くことがあります。正面の信号を確認しないのはミスですが、過去の経験が思い込みにつながることはあります。

―「歩車分離式」の表示がない交差点もあります。事前に見分ける必要がありますか?

表示がある交差点もありますが、重要なのは歩車分離式かどうかを見分けることではありません。発進するときは、対面する車両用信号の表示を確認することが基本です。歩行者用信号や隣の車の動きを発進の合図にしないことが大切です。

―「つられ発進」を防ぐには、どのような確認を習慣にすればよいでしょうか?

「周囲が動いたら発進する」のではなく、「正面の車両用信号が青になったことを確認してから発進する」と決めておくことです。歩行者や隣の車が動いても、一度正面の信号を見る習慣をつけることで、つられて発進するリスクを減らせます。

―右左折する際、特に注意すべき点はありますか?

歩車分離式には複数の制御方式があり、歩行者と車両の動きが常に完全に分かれているとは限りません。「歩車分離式だから横断者はいない」と思い込まず、横断歩道や周辺を直接確認してください。

特に自転車は、通行場所や信号の表示によって従う信号が異なる場合があります。「歩行者・自転車専用」の表示がある信号もあります。歩行者がいないことだけで安全だと判断せず、自転車を含め、自分の進路と交わる人や車両がいないかを確認することが大切です。

◆中井宏(なかい・ひろし) 大阪大学大学院人間科学研究科准教授/日本交通心理学会事務局長
交通心理学・産業心理学を専門とし、ヒューマンエラーや違反の発生メカニズム、ドライバーのリスク知覚や安全行動などについて研究している。共著に「子どもを全力で守る本」、共編著に「応用心理学ハンドブック」などがある。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース