アイドルグループ「アイドリング!!!」の元メンバーで、俳優・タレントの後藤郁(かおる)が、写真家・魚住誠一氏とコラボした写真展を8月2日に東京・恵比寿の「Bar Noir(バー・ノアール)」で開催する。後藤の故郷・大分県で撮影し、自ら交渉を重ねて手作りの作品展を実現させた。後藤は熊本地震について思いを明かし、作品を販売する同展での売り上げの一部を被災地支援のために寄付すると発表した。
後藤は1995年生まれ、大分県出身。2010年に「アイドリング!!!」4期生に選出されて14歳で上京。同グループを14年に卒業後、活動休止中に故郷で1年充電し、16年からソロとして再始動した。30年の人生でちょうど15年ずつ、大分と東京を生活拠点としたことになる。
今回の展示は「俳優・後藤郁×写真家・魚住誠一 アート展開催 ~東京と大分、二つの景色が交差する一日~ 」と題し、魚住氏との写真展を初開催してから今年で10年となる節目に企画した。故郷に刻まれた「土地の記憶」に被写体である自身が絡み、手練れのカメラマンがシャッターを切った。後藤は「大分」にこだわる思いを語った。
「史実として残らない歴史もたくさんあります。例えば、別府でいうと、商店街から少し横に入ると風俗街があり、5年前までは『赤線』の建物もありました。今回、ぜひロケ地で使わせていただきたいと思って交渉しに行ったら、なくなっているんですよ。別府で一緒に暮らした祖父母から戦後の話を聞いて育ったものですから、その時代に生きていた人たちがほぼいなくなっていることがとても悲しくて…。だからといって、それを憂えるのではなく、今、こうして私が話していることも明日になれば過去の一つ、歴史の一つになり、そうやって未来へとつながっていく…と考えると、そういった(市井の)人たちがいたことを忘れてはいけないんじゃないかと」
そこから、後藤は「私が何を残せるか」と考えた。
「やらないで後悔するくらいだったら、今、やろうと。(撮影スタッフの交通費、宿泊費、諸経費など)費用は全部、自分の貯金から出して、結構な額はかかりましたけど、お金ができてからやろう…ではできないと思ったんです。今あるものが来年あるとは限らない。時代の流れも消費も早い。それこそ、後藤郁というタレントも来年どうなるか分からない。『でも、やるんだ』という覚悟が自分の中にありました」
撮影ロケ地は多岐にわたった。別府市では商店街と旧赤線エリア、別府競輪場、複合施設「ビーコンプラザ」など。国東市では両子寺の仁王像、大正時代からある旅館「海喜荘」。さらに、杵築市のパラ園、大分空港から市街地への海路を走るホバークラフト…。
後藤は「プレゼンやアポ取りも大変で緊張しました。別府駅周辺に3つある商店街も全部、管轄が違うんですよ。撮影許可を取るのに1~2週間かかったり。それでも、『あなたの気持ちに協力した』と言っていただいて救われました」と振り返った。
会場となるバーには約30点が全て伊勢和紙にプリントされて展示。独特の作風は「タイムスリップしたような味わいがある」という。作品に登場するバラは食用で、当日は「バラ水」の無料提供もある。後藤は「人と時間を共有してお酒をたしなめるバーという空間での体験型アート展です。皆さんに楽しんでいただければ」と付け加えた。
今回の熊本地震を受け、後藤は29日夜に更新した自身の公式インスタグラム(kaoru_goto.official)で「同じ九州で生まれ育った一人として、8月2日に開催するアート展の売上の一部を、被災地支援のために寄付させていただきます」と報告した。
さらに、後藤は「今回のアート展は、私の故郷・大分の景色や記憶をたどることから始まりました。土地に残るもの、人の記憶に残るもの。それを作品として届けようとしている今、同じ九州で起きたことに、私なりにできることをしたいと思いました。一日も早く、穏やかな日常が戻りますように。」と綴った。インスタグラムでは、同展開催への道のりを描いた自作の4コマ漫画(全7話)も公開。同展の開催時間は正午~午後7時(最終入場は午後6時30分)。入場無料。