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育休復帰も「時短ならパートになれ」と会社…違法じゃないの? 正社員の身分を守るためには【社労士が解説】

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待望の赤ちゃんを授かり、産休および育休を取得していたAさん。いよいよ会社に復帰するというタイミングで、会社から「時短勤務を希望するなら、正社員からパートになってもらうのがうちのルールだ。嫌ならフルタイムで戻るしかない」という条件を示されてしまう。

これまで正社員としてキャリアを積んできたAさんにとって、時給制のパートへの変更は大幅な年収ダウンを意味する。「子育てを優先するには、正社員の座を諦めるしかないの?」と、Aさんは絶望の淵に立たされてしまった。

こうした育休復帰後の「パートへの変更打診」は法的に許されるのか、社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞いた。

ー育休復帰の際にパートへの変更を迫る行為は、法的にどう扱われますか?

会社側から一方的に変更を強いるのは、明らかに「労働条件の不利益変更」にあたり、原則として違法です。

正社員からパートになるということは、賞与がなくなったり退職金の算定で不利になったりと、労働者にとって大きなマイナスになります。育児休業を取得したことや、時短勤務を希望したことを理由に、このような不利益な取り扱いをすることは「育児・介護休業法」で厳格に禁止されています。

ー会社から時短勤務をするならパートになると言われた場合、従う必要はありますか?

そのルール自体が法に抵触している可能性が高いです。

そもそも法律は、3歳未満の子どもを育てる従業員が希望した場合、会社は「短時間勤務制度」を設けなければならないと定めています。本来の筋道は、正社員の身分を維持したまま働く時間を短くする「短時間正社員」としての復帰です。「時短=パート」という固定観念は、現代の労働法では通用しません。

ー会社側には、時短勤務を認める義務があるのでしょうか?

2024年の法改正により、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置が強化されました。会社は、時短勤務制度だけでなく、フレックスタイム制や始業・終業時刻の繰り上げ、テレワークの実施など、複数の選択肢の中から従業員が選べるようにしなければなりません。

これは努力義務ではなく「義務」です。たとえ工場のラインなどで「どうしても時短は無理」という合理的な理由がある場合でも、会社は代替案を提示する責任があります。

ー正社員のまま時短復帰する交渉術と、不当な扱いへの対抗策は?

まずは会社が「最新の法律を正しく理解していない」可能性を考えましょう。感情的にならず「現在は法改正により仕事と育児の両立支援が義務化されており、正社員のまま時短勤務ができるはずです。今後も正社員として貢献したいです」と、冷静に事実をリマインドしてください。

話し合いが通じず、不当な条件を強要されたり、解雇・減給を口にされたりした場合は、速やかに「労働局」へ相談しましょう。行政から是正指導や勧告が出ることもあり、裁判より労力がかからない現実的でスマートな手段です。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ) 社会保険労務士/こころ社労士事務所代表
大阪府茨木市から労使の共存共栄を目指す職場づくりを支援。人材育成・定着のための就業規則整備や評価制度構築、障害者雇用、同一労働同一賃金への対応といった実務支援は、常に現場の視点に立つ。ネットニュース監修や講演にて情報発信を行う一方で、SNSでは「#ラーメン社労士」としても活動し、親しみやすい人柄で信頼を得ている。

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