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行き倒れた外国人男性を救助した俳優、状況を説明 「奈落で生まれた」松井誠…座長公演も盛況、波乱の人生

北村 泰介 北村 泰介
酷暑の屋外で行き倒れた外国人男性を救助した俳優・演出家の松井誠
酷暑の屋外で行き倒れた外国人男性を救助した俳優・演出家の松井誠

 酷暑の屋外で行き倒れていた外国人男性を救助し、警察が到着するまで付き添った舞台俳優・松井誠(66)の行動がネットで報じられて注目された。主演、演出、構成を手がけた自身のプロデュース公演(東京・日本橋公会堂)の舞台に立っている松井がよろず~ニュースの取材に対し、現場の状況、波乱万丈の演劇人生や舞台への思いを語った。

 13日の昼だった。松井は都内の自宅を出て、駅に向かう道中、建物の間で倒れている人の姿に気づいた。15日の公演初日を前に、その日は会場でのリハーサルが予定されていた。座長として遅れることはできないが、そのまま素通りできなかったという。

 松井は「みなさんが通り過ぎている中、私がその男性の様子をのぞいたら、なぜかスボンがこのくらい(尻の下)まで下がっていて、汗びっしょりになって、苦しそうで立ち上がることもできない状態でした。外国の方で言葉が通じないので、(スマホの)アプリを使ってやりとりしようとしましたが、うまくいかず、『このままではやばい』と思って警察に連絡すると状況を聞かれたので、『救急車が必要だと思います』とお伝えしました。警察の方が来られるまで待って、私の名前と住所、携帯の電話番号をお伝えして劇場に向かいました」と振り返った。

 その出来事を自身のインスタグラムで報告したことから同日のネット記事となった。その後、警察から連絡はないというが、松井は16日の公演後、楽屋で当サイトに対応する中、「暑い日が続いていますから、その方も熱中症になったのではないでしょうか」と推測。救出した人の無事を願いながら、舞台で八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せていた。

 今公演の第1部は自身の脚本・演出、主演で、人情味のある「目明かし」を演じた時代劇「大江戸捕物帳~越後屋騒動記~」を上演。第2部は構成・演出・振り付け、選曲を担当した「豪華 歌舞百景」で、自身がデザインした4種の女形(おやま)の衣装などを早替えし、大きなケースに入った博多人形に扮(ふん)するなど、妖艶な歌謡舞踊を披露した。

 キャストは、1978年の夏に化粧品メーカーCMのキャンペーンガールとして一世を風靡(ふうび)した服部真湖'当時・まこ)ら総勢27人。2023年から4年連続出演となった岡元あつこは「演出、音、衣装から小物の一つ一つに至るまで全部お一人でやられる、私たちにとってはスーパーマンのような人。リアルの世界でも、やっぱりスーパーマンでした」と今回の救出劇を踏まえて松井に敬意を表した。

 松井は1960年、福岡県生まれ。「私は大牟田にあった芝居小屋の奈落(※舞台や花道の床下のスペース)で生まれました。女剣劇だった母親が身重のまま舞台に出て奈落で産気づいたのです。初舞台は0歳で捨て子の役。(役者の子として)40何カ所も点々と転校を繰り返し、舞台の幕引きをしていました」。そして、15歳で上京した。

 「新宿の歌舞伎町で年齢を偽って水商売の世界に入りました。売り上げのために無理してお酒を飲む日々で胃潰瘍と十二指腸潰瘍に。手術をして水商売に戻りましたが、お客様に連れて行っていただいた帝国劇場で森繁久彌さん主演の『屋根の上のヴァイオリン弾き』を見て血が騒いだ。『大劇場の座長になる』という目標を10代で掲げ、25歳で無謀にも未経験の人を集めて劇団を旗揚げ。2000万円も借金して、それでも足りませんでした」。40歳で東名阪の大劇場で座長公演をするまでになり、「昭和の名優・長谷川一夫の再来」とも評された。

 18日の千秋楽は既にチケット完売。27年6月11~13日には東京・浅草公会堂で今回に続く第4弾プロデュース公演も決定した。今秋は10~11月に老舗劇団「前進座」の創立95周年を記念した大阪、名古屋、東京での公演に特別出演する。松井は「前進座さんから85周年公演以来、10年ぶりにお声がけいただきました。『出雲の阿国』 という演目で“伝介”という、ずっと、しゃべりっぱなし、(衣装の)早替わりもあり、動きっぱなしという大変な役を演じます」と意欲的だ。

 夜の世界で生きていた少年時代、名優が立つ大劇場の空間に衝撃を受けてから半世紀。「道に倒れた人を救った」ということで注目された舞台俳優には波乱万丈の役者人生があった。

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