髪を短く切って出社した後輩の女性社員から「切り過ぎました…変ですか?」などと聞かれた時、どのように対応すべきだろうか。ささいな事とはいえ、コンプライアンス意識が高まる昨今、社内の付き合いを円滑にするためにも、接し方には配慮が求められる。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。
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【今回のピンチ】
ロングヘア―だった後輩女性が、いきなりショートヘアーに。本人は「エヘヘ、切り過ぎちゃいました」と言っているが、よく似合っている。このご時世、ホメていいものか……。
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ある朝、出社したら同じ部署の後輩女性が、それまでのロングヘアーからいきなりショートヘアーになっていました。驚いて何も言えずにいたら、テレ笑いしながら「エヘヘ、切り過ぎちゃいました」と言っています。
よく似合っていると思いますが、このご時世、女性の外見にうかつに言及すると、どんな非難を受けるかわかりません。出方を間違えると破滅につながりかねない大ピンチ。さてさて、どう返せばいいのか。
たしかに、会社という仕事をする場で、ほかのメンバーの外見に言及する必要はありません。昨今のコンプライアンス意識の高まりや、ルッキズム批判の広がりで、かつてのように「〇〇ちゃん、今日もカワイイね」なんて息を吐くように言うオヤジは、ほぼ絶滅しました。
それはそれで、いいことではあります。ただ、男女を問わず誰もがコンプラ様の幻影に脅えて、必要以上にビクビクしている傾向も無きにしも非ず。この状況で、どう返せばいいか悩んでしまうのは、昨今の風潮のマイナスの副作用と言えるでしょう。
慰めるつもりで「すぐ伸びるから大丈夫だよ」と言うのは論外。二度と口を利いてもらえなくなっても仕方ありません。差し障りのないコメントをしようとして、「切り過ぎかどうか、ボクには判断できない。髪型は個人の自由であり自己責任だよ」なんて言ったら、即座に「やばいヤツだ」と思われます。
ひと昔前には、女性が髪を切ると「おっ、失恋でもしたの」と言ってくる無神経なオヤジがいました。その手のオヤジと一緒にされたくない思いが先走り過ぎて、いきなり「髪を切るというのはプライベートな問題であり、理由を詮索するつもりはないから安心して」と言うのも、けっこう最悪です。
難しく考えすぎる必要はありません。コンプラ云々ではなく、人として当たり前のコミュニケーションのあり方を思い出しましょう。
髪を切った本人が「切り過ぎちゃいました」と言っているのは、間違いなく「そんなことないよ」と言ってほしいから。世の中の風潮が変わっても、そこは変わりません。
明るく大きな声で言うか、はにかみながら小声で言うかは自分のキャラクター次第として、ここは「そんなことないよ。ショートもよく似合うね」と返すのが「正解」であり、人としてのあるべき姿です。時流に惑わされて大切なものを見失わないように、くれぐれも気をつけましょう。
ただ、不安を吹き飛ばしてあげたいからといって、「〇〇さんはショートのほうが似合いそうだって、前々から思ってたんだよね」と言うのは、明らかに行き過ぎ。「オレ、ショートの女性を見るとゾクゾクするんだよね」は、押しも押されもせぬセクハラです。
相手の気持ちを汲み取りつつ、ちょっと言い足りないぐらいで短く話を切り上げるのがいいかもしれません。ショートの話だけに。