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大河ドラマ「豊臣兄弟!」織田信長の残忍な行動を非難した勇気ある家臣は誰か? 識者語る

濱田 浩一郎 濱田 浩一郎
白洲迅
白洲迅

 大河ドラマ「豊臣兄弟!」第19回は「過去からの刺客」。天正元年(1573年)、織田信長は越前国の朝倉義景、北近江の浅井長政(妻は信長の妹・お市)を滅亡に追い込みます。翌年の天正2年(1574年)正月一日、都やその隣国の諸将は岐阜にいる信長にあいさつに参上しました。その際、酒宴が幾度も開催されるのですが、信長は御馬廻衆(大将の馬の周囲に付き添う親衛隊的存在)のみが周りにいる段階となった時に、酒の肴を披露するのです。普通、酒の肴というとお酒に合う料理かと思うでしょうが、そうではありません。

 昨年、討ち取った浅井長政・久政父子、朝倉義景の首3つが漆で固められ、金泥で薄く彩色されて「御肴」として披露されたのです。「信長公記」(信長の家臣・太田牛一が著した信長の一代記)にはその後でまた酒宴となり、信長と御馬廻衆は「御肴」を前にして謡い、楽しんだとあります。ところが江戸時代初期の儒学者・小瀬甫庵の著作「信長記」には、この酒宴の直後に信長に意見・諫言した家臣がいたことが記されているのです。同書によると、その家臣は佐々成政(黒母衣衆)だったとされます(「豊臣兄弟!」では成政は白洲迅さんが演じています)。成政は「まだ服属していない国々があるのは、徳が至らない故であると思い、不善なところを省みてください」と信長に言上したのです。

 敵将の首を酒の肴として披露したことが悪いと言葉に出して非難した訳ではありませんが、その件を批判しているのは明確でした。「豊臣兄弟!」で小栗旬さん演じる信長ならば成政を足蹴にでもしそうですが、「信長記」の信長は違いました。その通りであると成政の意見に納得し、手を引いて部屋に招き入れ、そこで政道について語ったのです。さらには成政に様々な引き出物を与えたのでした。小瀬甫庵の「信長記」は史料としての価値は低く、この逸話も創作と思われますが、ユニークな話も多数掲載されており、読み物としては興味深いものがあります。

(主要参考文献一覧)
・池上裕子「織田信長」(吉川弘文館、2012年)
・桐野作人「織田信長」(KADOKAWA、2014年)
・濱田浩一郎「秀吉と秀長 天下統一の軌跡」(内外出版社、2025年)

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