中央大学法科大学院教授で、フジテレビ系「Live News イット!」やTBS系「情報7daysニュースキャスター」などではコメンテーターも務める野村修也弁護士が15日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、「存立危機事態」についてあらためて解説した。
高市早苗首相が11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也氏の質問に対して「台湾有事が存立危機事態に該当し得る」と答弁していた。あくまで仮定の下での可能性についての答弁だったが、これに中国側が反発していた。薛剣(せつけん)・駐大阪総領事はX(旧ツイッター)に「汚い首を斬ってやる」(すでに削除済み)などと書き込み。同月13日には中国外務省の孫衛東次官が金杉憲治・駐中国大使を呼んで抗議し、発言の撤回を要求していた。
この動きに対して、日本側も同月14日に外務省の船越健裕事務次官が呉江浩・駐日大使を呼び、薛剣氏の投稿に抗議。しかし、中国は国民に対し日本への渡航を控えるよう呼び掛ける通知を出すなどしていた。
野村氏は「存立危機事態」について「話が噛み合わない」と感じることがあるとし、「中国が台湾に武力行使をしたら、日本が『台湾を守るために』武力行使する話だと思って批判している人がいるらしい。」とかみ合わない内容を説明。「これは全くの誤解。台湾有事に伴って『中国が米軍に武力行使し』日本に存立危機事態が生じた場合に、『米軍を守る可能性』の話。」と明言した。
さらに「あらゆる要素を総合的に検討した結果、『存立危機事態』に当たると判断された場合でも、日本が必ず武力行使するわけではない。」と付け加えた。「『他に適当な手段』があればそちらを選択するし、仮に武力行使が不可避でも『必要最小限の実力行使』にとどまる。」と日本の対応についても説明した。
続けて「個別的自衛権」についても解説した上で「存立危機事態については
①我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより
②我が国の存立が脅かされ、
③国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」と解説した。「個別的自衛権とは区別されますが、看過できない事態です。」と付け加えた。
「こうした事態が認定された時点で、他に適切な手段が無いときに、必要最小限の武力行使を行うわけですが、これを『日本は戦争しない国ではないのか』と言って否定するならば、②我が国の存立が脅かされ、③国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されることを我慢しなければならないことになります。」とした。