学校の書道の授業で使っていた墨を覚えているだろうか。
固形の墨を硯で磨って使っていた人もいるだろうが、多くの人は「墨汁(ぼくじゅう)」や「墨滴(ぼくてき)」、「書道液」などと呼ばれる液体の墨を使っていたはず。それぞれどんな違いがあるのか。墨、書道用具メーカーの株式会社呉竹の担当者に聞いてみた。
――「書道液」と「墨汁」「墨滴」の違いについて。
担当者:各メーカーで違うとは思いますが、当社では一般的に書道で使われるものを「書道液」と「墨滴」、書道以外に使用するものを「墨汁」と、用途によって分けています。
当社の書道液の始まりは、1953年に教育現場で出た「墨を磨る時間を短縮し、授業の内容を充実させたい」という声をもとに開発され、1958年に販売を開始しました。発売当初は賛否両論ありましたが、徐々に受け入れられ、現在は沢山の種類を販売するまでになりました。材料は煤(すす)、樹脂でできています。
――呉竹では「洗って落ちる書道液」という商品もありますね。お母さんたちには人気ありそうです。
担当者:ぼくてきや呉竹墨汁に入っている煤(カーボンブラック)を含まず、水溶性の染料を使用しているのが「洗って落ちる書道液」です。誤って服に付着しても洗濯すれば落ちます。商品名は「ぼくてき」を使わず区別しています。ただ、あくまでも練習用なので、作品を巻物や屏風に仕立てる表装をすることはできません。
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SNSでは「書道液は初耳」「違いは何?」「書道教室では、ぼくてきを使ってた」「今まで墨汁と思って使ってたやつが書道液だった」「全部墨汁って言ってた」などの声が見られた。
近年は携帯用の習字セットが気軽に手に入るようになり、洗濯すれば落ちる書道液も発売され、いつでも気軽に書道ができるようになっている。心を落ち着けるために、筆を取ってみてはいかがだろうか。
株式会社呉竹 インスタグラム
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