2年ぶりのセ・リーグ制覇を遂げ、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージもDeNAを相手に無傷の3連勝(アドバンテージ含む4勝0敗)で突破した阪神。25日に開幕するソフトバンクとの日本シリーズを前に、筋金入りの阪神ファンである俳優・歌手・作家の中江有里が当サイトの取材に対して、今季の戦いを振り返り、2年ぶり日本一に向けて展望を語った。
まずは独走Vの要因を分析した。
「各選手が自分の役割をそれぞれが担ったということ。そして、藤川監督のマネジメントだと思いますね。投手陣に無理をさせなかったことも大きかったですし、打順を(上位は)固定しながら〝チャレンジ枠〟を設けたところがよかったと思います。熊谷があそこまで活躍したことも大きかった。高寺、中川、豊田ら若手の覚醒もあった。彼らはチャンスがあれば自分の役割を発揮する場を待っていたんだと思いますし、その刺激が固定メンバーにも及ぼした。坂本捕手も素晴らしかった。『扇の要(かなめ)』って、ああいうことを言うんだなと思いました。サトテル(佐藤輝)は打撃もすごかったですけど、今季は守備が良くなった!」
唯一、不安だった時期は交流戦での7連敗。「『負ける』ということはいろんなものを削ぎ落とされる感じがするんですね。それでも交流戦後は圧倒的に勝って、これは大丈夫だと。今思えば、ああいうこと(連敗)も必要な時だったのかもしれないなと」
全試合を観戦する中、可能な限り球場に足を運ぶ。拠点である首都圏の神宮、東京ドーム、横浜、故郷・大阪に近いホームの甲子園をはじめ、初めてのバンテリンドーム(中日戦)、交流戦ではエスコン(日本ハム戦)に。その中で強烈に印象に残った試合があった。5月13日、ハードオフエコスタジアム新潟で行われたDeNA戦だ。
「ケイと才木の投げ合いで、阪神が0-1とリードされて迎えた9回もサトテル(佐藤輝)、大山が倒れてツーアウト。バッターはこの日が初スタメンだった高寺。ファンは諦めて帰りかけていた時、高寺がホームランを打って追いついた。『ウソでしょ!』って思いました。野球ってよく『9回2アウトから』って言いますけど、本当にそれを見せてくれた。勝ち越しはできずに延長12回引き分けで終わったんですけど、負けなかった。あの試合は球場まで観に行って本当に良かったなと思いましたし、『今年の阪神は違う』と確信しました」
目前に迫った日本シリーズ。注目するキーマンに森下を挙げ、「クライマックスシリーズもそうでしたけど、あの勝負強さは期待できるのではないかと思います。今の好調をキープできれば日本シリーズでもいいところで打ってくれると思います」と期待を込めた。
中江はシリーズの展望として「ふだん通りの野球を…守備も堅実、先発投手陣の安定、中継ぎ陣の信頼…があるので抜け目ないです。課題は代打くらい。ちょっとだけ弱いかなと思いますけど、その分、高寺、中川に期待しています。ポテンシャルの大きさが思っている以上に若手にはある。(ソフトバンクのエース)モイネロに対しても今季の交流戦で阪神打線は8安打していますから苦手意識はないと思います。(今季のソフトバンク戦で5回零封して勝ち投手になった)大竹さんにはできれば甲子園で投げていただきたい」と語り、「チケットは取れてないですが、私が観てなくても、勝ってくれたらいいです」と微笑んだ。
一方で、オフには日本球界のスター選手が大リーグに移籍するニュースが相次ぐ。阪神も例外ではないが、前向きに受け止めている。
「今の〝圧倒的な人たち〟(主力メンバー)がいずれ抜けていくのは間違いないし、しょうがないと思うんですけど、抜ければまた誰かが出てくる。今が(戦力の)ピークにしてはいけないので、新陳代謝を繰り返しながら強い状態を保っていくということ、新しい人にチャンスを与えていくことがすごく大事だと思います。勝つだけじゃダメなんですね。これからの阪神を背負っていく人たちが出て来てくれているので何年後かも楽しみですね」
長期的な視野で「阪神を応援する」という生活の軸をこれからも持ち続けていく。