Threadsに投稿された1枚の写真が、人々の目を釘づけにした。
今にも甘い香りが漂ってきそうなみずみずしい巨峰の粒。「おいしそう」と思わず声が出てしまいそうなその一枚——。
ところが、驚くことにその正体は粘土だという。 この作品を手がけたのは、ディスプレイケーキ作家として活躍中のあゆみさん。 このリアルすぎる作品がどのように生まれたのか、詳しく話を聞いた。
――本物の巨峰にしか見えません。
あゆみ:本当に粘土です!時間の経過とともに透明になるタイプの粘土を使用しています。
――制作にあたり、苦労した点は?
あゆみ:果肉の色味の再現に最も苦労しました。「黄緑」といってもメーカーによって微妙に異なるため、5種類ほどの絵の具で試作を重ねました。
また、粘土は乾燥後に色が変化するため、絵の具の量も試行錯誤しています。
――完成までどのくらいかかりましたか?
あゆみ:形を作ってから透明になるまで約2週間、完成までは1か月ほどかかりました。
――フェイクケーキ制作を始めたきっかけはありますか?
あゆみ:子育てとの両立が難しくなり、ブライダルパティシエを退職しましたが、心の中では「一生続けたい」という想いがありました。
その中でフェイクケーキと出会い、「これなら自宅でウェディングケーキが作れる!」と感じたことがきっかけです。
パティシエとして培った技術や経験を活かし、食べられなくても手に取った方が“しあわせ”を感じていただける作品づくりに励んでいます。
――これまでで1番の自信作はありますか?
あゆみ:ウェディングケーキサイズのナンバーオブジェケーキです。
――投稿が大きな反響を呼びましたが、率直なご感想をお聞かせください。
あゆみ:いつも通り何気なく投稿した作品が、これほど多くの方に見ていただけるとは思っておらず、とても驚きました。たくさんの方から嬉しいお言葉をいただき、今後の制作活動を続けるうえで大きな励みになりました。
◇◇
Threadsのコメント欄には、
「いやいや、本物です。私が食べます。」
「待って、後ろのカップケーキも粘土なの、、、」
「脳がバグる、、これはぶ、どう、」
といった声が寄せられ、多くのユーザーを驚かせた。
そのリアルさはもちろん、細部まで丁寧に仕上げられた作品からは、作者の確かな技術とスイーツへの情熱が伝わってくる。 なお、安全面に配慮し、お客には撮影用としてご利用いただいているという。
リアルすぎる“粘土の巨峰”は、ブライダルパティシエとしての経験と、その仕事を「なにかしらの形で続けたい」という想いが形になったもの。 本物のスイーツづくりで培った技術を、フェイクという新しい形で表現し続けるあゆみさん。 その作品には、見た人の心をときめかせる“幸せ”が確かに宿っている。
あゆみさんInstagram:https://www.instagram.com/88.cake