五島軒(北海道函館市)が、1879年のレシピで作った五島カステラ「明治」と2025年のレシピで作った五島カステラ「令和」を同時発売し話題になっている。
五島軒初代料理長の五島英吉は長崎・五島列島の出身で長崎奉行に仕え、江戸末期には幕臣として榎本武揚や土方歳三とともに戊辰戦争を戦った武士だったそう。旧幕府兵の生き残りとしてロシア領事館に保護された時に学んだ西洋菓子の製法をもとに作られたのが今回復刻の「明治」で、現在的な感覚で作った「令和」とは全く別物だそうだ。五島軒五代目代表取締役社長、若山豪さんに話を聞いた。
――今回の同時発売の意図は?
若山:明治時代のカステラのレシピを復刻してみようという企画が立ち上がり、それなら現代のカステラと対比させ、それぞれの時代における菓子作りの考え方や味の違いを楽しんで頂きたいと考えました。
――当時のレシピを再現する上で大変だったことは?
若山:初代料理長のレシピでは、当時はまだ珍しかったバターを使って生地をつないでおり、どっしりとした生地を、ゆっくり時間をかけて焼き上げています。昭和の時代は「ソーフケーキ」という名前で結婚式の引き出物などお祝い事に使われたこともあったのですが、今回は本来のカステラとして商品化するため、天面を平らにするなど形状を整えるのに苦労しました。
――「明治」と「令和」の違いは?
若山:先ほど申し上げた通り、「明治」は当時の伝統的な西洋菓子をベースにしていますので、原料をシンプルにかけ合わせ、長い時間をかけてじっくり焼成する重厚感を味わって頂けると思います。
「令和」は、現代的なカステラ特有のしっとりとした軽い口当たりが特徴。北海道産の含蜜糖と、香りづけに五島列島から取り寄せた椿油を使用しており、「明治」とはまた違ったアプローチで五島列島と五島軒の絆を表しているのも特徴です。
――消費者にどんな体験を提供したいか。
若山:五島軒が146年前から守り続ける伝統のカステラと、令和の時代に五島列島との絆を表したカステラを通して、時代を経て語り継がれる函館の歴史物語に思いを馳せて頂けましたら大変うれしいです。
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SNSでは「これは食べ比べしたい」「明治12年と令和7年!146年の差が気になる。」「ヴィクトリア朝時代か?」「素敵な企画すぎる。」「1879年から試行錯誤し続けてできた2025年も気になる。」などの反響が寄せられた。カステラで歴史に思いを馳せてみるのはいかがだろうか。
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