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吉行和子さんを悼む「金八」共演者とのハグ目撃した直江喜一に粋な一言「あら、生徒に見られちゃったわ」

北村 泰介 北村 泰介
2019年の取材で「女優生活65年を超えてもまだ反省がある」と語った当時80代の吉行和子さん。90歳まで現役を貫いた
2019年の取材で「女優生活65年を超えてもまだ反省がある」と語った当時80代の吉行和子さん。90歳まで現役を貫いた

 数多くの映画やテレビドラマに出演した女優でエッセイストの吉行和子さんが今月2日に肺炎のため90歳で亡くなった。所属事務所の発表を受け、訃報が流れてから一夜明けた10日、TBS系ドラマ「3年B組金八先生」第2シリーズで共演した俳優・直江喜一(62)が、よろず~ニュースの取材に対し、生徒と教師役として接した吉行さんの思い出を語った。

 吉行さんは、TBSドラマ「3年B組金八先生」の第1シリーズ(1979年10月~80年3月)と第2シリーズ(80年10月~81年3月放送)でドラマの舞台となる桜中学の家庭科教員・池内友子役で出演。自宅の〝下宿人〟でもある国語担当の坂本金八(武田鉄矢)や生徒らを優しく見守り、時には厳しさを示す場面も。シリーズ歴代最高の平均視聴率を記録した第2シリーズでは3年D組の担任となり、金八が担任を務めるB組の生徒・加藤優(まさる)役の直江とは現場で接した。

 直江は「吉行さんは僕のことを『優くん』、僕は吉行さんのことを『池内先生』と役名で呼んでいました。ドラマの中で絡むことはなかったのですが、リハーサルで一緒になり、セットの所で会話をしたりした。よく『優くん』と声を掛けてくれたのを覚えています。ロケの時にも僕の演技を見てくれて、『優くん、いいわよ~』『うまいわよ~』などと声掛けしてくれました。きれいでホワ~ンとした、ほんと、優しいお母さんみたいな方。とても素敵な女性でした」と偲んだ。

 放送当時、吉行さんは45歳。直江は17~18歳。番組終了後、数年を経て再会する機会があったという。

 直江は「僕が20代前半だった頃だと思うんですけど、吉行さんから『一人芝居をやります』という連絡が郵便のDM(ダイレクトメール)で来たんです。1人で芝居するってすごいなという思いもあって会場に行き、芝居を観てから、楽屋に行こうとした時に上條さんにばったり会って、『おお、優!』ということになったんです」と明かした。

 「上條さん」とは、第2シリーズで共演した社会科担当・服部先生役の上條恒彦さん。楽屋で3人の〝同窓会〟になった。

 直江は「上條さんはバラを持っていて、僕より背が高くて目立つから、吉行さんは『あら~』ってすぐ気づいて、服部先生と池内先生とでハグしたんです。上條さんが『良かったよ』ってバラの花をあげて、吉行さんが『あら、素敵』なんて話をしているところを、僕が隣でニコニコ笑って聞いているのに気づいた吉行さんが『あら、生徒に見られちゃったわ』って笑った…というエピソードがありました」と振り返った。

 その上條さんも今年7月に85歳で死去。金八シリーズの教員を演じた俳優の訃報が近年続き、君塚校長役の赤木春恵さん(享年94)が18年に、英語の上林先生役の川津祐介さん(享年86)が22年に、英語の左右田先生役の財津一郎さん(享年89)が23年に、そして今年、上條さんと吉行さんが相次いでこの世を去った。野村教頭役の早崎文司さん(享年67)は96年に亡くなっている。

 直江は「時の流れを感じます。ご冥福をお祈りします」と〝恩師〟たちを悼んだ。

 吉行さんは1935年生まれ、東京出身。父は作家の吉行エイスケさん、母はNHK連続テレビ小説「あぐり」(97年)のモデルになった美容師の吉行あぐりさん、兄の小説家・吉行淳之介さんと妹の詩人・吉行理恵さんはいずれも芥川賞を受賞。あぐりさんも著書があり、〝文筆一家〟で育った吉行さんも日本エッセイストクラブ賞を受賞するなど文才を発揮した。

 女優としては劇団民藝で57年に「アンネの日記」で主役デビュー。59年に日活と契約し、「にあんちゃん」「才女気質」「あいつと私」「街に気球があがる時」など数多くの映画に出演。69年にフリーとなり、78年の第31回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した大島渚監督の「愛の亡霊」では主演女優として迫真の演技で注目された。その後も数々のテレビドラマ、映画、舞台で存在感を発揮した。

 生涯現役を貫き、卒寿にして約70年間の芸能人生に幕を下ろした吉行さん。遺作となる出演映画「金子文子 何が私をこうさせたか」(浜野佐知監督)が来年2月に公開予定となっている。

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