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猛暑でノースリーブ出社!「目のやり場に困る」と言うのはセクハラ? 社労士が解説

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夏場のオフィスで、肩や腕が大きく露出したノースリーブのトップスに丈の短いスカートを着用し、涼しげな服装で出社する女性社員を見かけることがある。「暑いのだから仕方ない」「オフィスカジュアルの範囲内のはずだ」と本人はそう考えているかもしれないが、周囲の同僚からは「目のやり場に困る」といった声が漏れ聞こえてくる。

では実際のところ、職場の服装はどこまでが個人の自由として許容されるのだろうか。そして周囲への配慮やハラスメントとの境界線は、どこにあるのだろうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに話を聞いた。

ー企業は服装をルール化できるのでしょうか

ルール化できます。企業は、従業員が安全かつ快適に業務に専念できる環境を整える「職場環境配慮義務」を負っています。その一環として、企業の事業内容や社会的な立場、職場の規律維持といった観点から、合理的かつ具体的な服装規定を就業規則などで定めることは、企業の正当な裁量の範囲内と認められています。

ただし、そのルールは全従業員がいつでも確認できるよう「明文化」されている必要があります。

ー露出の多い服装の社員に対して、企業は注意・指導できますか

前提として「服装規定」で、禁止事項が明示されている必要があります。規定があれば、企業は「就業規則の第〇条に違反しています」という形で、客観的な事実に基づいて注意・指導が可能です。その際は、後のトラブルを避けるためにも、口頭だけでなくメールなど証跡が残る形が望ましいでしょう。

逆に服装規定がない状態で「目のやり場に困る」といった主観的な理由で注意することは困難です。注意された側から「それはあなたの主観ですよね」「セクハラではないか」と反論され、問題がこじれかねません。

ー従業員の服装に対して、性的なニュアンスを含む発言はセクハラになりますか

「可能性がある」というレベルではなく、明確にセクシュアルハラスメント(セクハラ)にあたります。社員がどのような服装をしていたとしても、それを理由に性的な言動を行ったり、執拗に身体を眺め回したりすることは、相手の人格権を侵害する許されない行為です。

「露出の多い服装だから」「相手にも原因がある」といった弁解は一切通用しません。これは議論の余地なくハラスメントです。

ー露出の多い服装をしている側が、周囲からの視線や言動を「セクハラだ」と主張できますか

服装は、ハラスメント行為を正当化する理由にはならないため、自身の服装に関わらず、他者からの性的な言動や不快な視線によって精神的苦痛を受けたと本人が感じた場合、セクハラとして会社や加害者に然るべき対応を求めることは当然の権利です。

したがって、服装をめぐる問題では、注意する側が「ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)」として逆に訴えられるリスクも念頭に置かなければなりません。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士/こころ社労士事務所代表 

大阪府茨木市から労使の共存共栄を目指す職場づくりを支援。人材育成・定着のための就業規則整備や評価制度構築、障害者雇用、同一労働同一賃金への対応といった実務支援は、常に現場の視点に立つ。ネットニュース監修や講演にて情報発信を行う一方で、SNSでは「#ラーメン社労士」としても活動し、親しみやすい人柄で信頼を得ている。

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