すりキズ、切りキズの応急処置方法が昭和と真逆に進化している。
キズができたら乾かせて早くかさぶたを作るのがかつて一般的だった応急処置だが、現在は体液を吸収しキズを保護、治癒を促す素材「ハイドロコロイド」を用いた、キズを覆ったまま治す湿潤療法が普及しつつある。
かさぶたが綺麗にめくれた時の嬉しさを思い出すが、現在はかさぶたを作らないのが怪我を早く綺麗に治すコツとのこと。絆創膏などさまざまなテープ類を製造・販売するニチバンの広報担当者に話を聞いた。
――昭和時代の、すりキズ切りキズの応急手当は?
担当者:特に何もしないか、赤チン(マーキュロクロム液)を塗ることが多かったようです。テープにガーゼが付いた救急絆創膏が日本に普及し始めたのは1960年(昭和35年)前後で、キズぐちを消毒する、赤チンを塗る、救急絆創膏をキズの上に貼る、といった処置が一般的になりました。
――現在はどう変わりましたか?
担当者:水道水でキズぐちの汚れをよく洗い流せば、消毒はキズを治す細胞も傷つけるため不要とされています。さらにキズぐちを乾燥させずに治す「モイストヒーリング(湿潤療法)」の考えが普及し、対応した絆創膏も発売されています。
――湿潤療法について、考え方と方法を教えてください。
担当者:キズぐちから出てくる体液にはキズを治す成分が含まれています。この体液の働きを最大限に生かしてキズを早く治すのが「モイストヒーリング(湿潤療法)」。キズぐちから出る体液を吸収し乾燥を防ぐ特殊な素材のパッドを用いて、体液が十分保たれる環境(湿潤環境)を維持。キズ表面の再生が促され早く治ります。かさぶたにならないのでキズあとが残りにくくなるのも良い点です。
――現在、破傷風ワクチン出荷停止が話題です。破傷風予防について教えてください。
担当者:汚れた環境下でケガをしないよう気を付け、もしそのような場所でケガをしてしまった場合は、キズぐちを水道水で十分洗浄し、汚れを落とすことが大事だと考えます。
――応急処置の変化に伴い、絆創膏も変化してきたのでしょうか。
担当者:2000年代にモイストヒーリングの絆創膏が登場しましたが、キズとその周りの皮膚をすべてハイドロコロイド素材で覆う型が主流でした。当社は2012年に湿潤療法と救急絆創膏の使い心地を両立させた「ケアリーヴ治す力」を発売。キズに当たる部分のハイドロコロイド素材は、キズ口から出る体液を吸収し、キズが早く治る環境を保ちます。健康な肌に当たる部分はケアリーヴで好評いただいている高密度ウレタン不織布テープなので、伸縮性に優れ、肌の動きにぴったりフィットします。
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異物や汚れが取れない・見つからない場合、キズの範囲が深い、血が止まらない、やけど、動物にかまれた場合は応急処置の後、病身で受診をとのこと。応急処置の参考にしていただきたい。
ニチバン株式会社ホームページ:https://www.nichiban.co.jp/
ケアリーヴ商品ページ:https://www.careleaves.com/