akiya_b

カスハラ被害で従業員がダウン!企業はどのように対策すべき!?社労士が解説

夢書房 夢書房

昨今では、お客様からの理不尽な要求に従業員が疲弊している状況に、頭を抱える企業や店舗は少なくない。顧客からの悪質なクレームや迷惑行為、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」は年々深刻化し、企業の存続をも揺るがしかねない経営課題となっている。

従業員を守り、健全な企業活動を続けるために、企業はカスハラにどう立ち向かうべきか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞いた。

ーカスハラ被害を放置するとどんな問題が生じるのでしょうか

最も大きな問題は従業員の離職です。心無い言葉や威圧的な態度に晒され続ければ、従業員の心身が疲弊し、退職に至るのも当然でしょう。また、カスハラが横行する職場や店舗では、雰囲気が悪化し別の従業員のモチベーション低下や生鮮性の低下を招くでしょう。

法的なリスクも無視できません。企業には、従業員が安全で健康に働けるように配慮する「安全配慮義務」があるため、従業員が精神疾患を患ったり、退職に追い込まれたりした場合、安全配慮義務違反を問われ損賠賠償を命じられる可能性も否めません。

ー従業員を守るためにどうしたらいいのでしょうか

カスハラ対応マニュアルを作成し、従業員に徹底することが大切です。マニュアル作成に法的な義務はないものの、現場の従業員が顧客と対峙する際に、個人の判断ではなくマニュアルに沿った対応ができるため、理不尽な要求に組織的に対応できるようになります。

マニュアルには、カスハラの定義や対応フロー、悪質な場合は「サービスの提供を拒否する」などの内容を記述すると良いでしょう。また、どのような被害を受けたかを記録しておくことも重要です。

ー顧客主義と従業員の保護はどちらを優先すべきでしょうか

そもそも顧客とは、民法上の対等な契約関係を結ぶべき相手です。その点からいえば、理不尽な要求をしてくる人は、対等な契約関係を結ぶべき顧客とはいえません。カスハラを行ってくる人を、カスタマーと認識することに問題があるのではと考えます。

したがって顧客の定義を改めて徹底したうえで、従業員の安全を確保することが求められるでしょう。

ーカスハラ対策に成功している企業はどのようなことをしていますか

前述したマニュアルの整備や記録の徹底は当然のことながら、会社として「従業員を守る」という姿勢を明確に示しています。たとえば「迷ったら断ったらいい」とお墨付きを与えて、従業員の心理的負担を軽減しているケースがあります。

また、名札に本名を書くのではなくニックネームを記すようにして、顧客が追跡できないような工夫をしている店もあります。

◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士/こころ社労士事務所代表 

大阪府茨木市から労使の共存共栄を目指す職場づくりを支援。人材育成・定着のための就業規則整備や評価制度構築、障害者雇用、同一労働同一賃金への対応といった実務支援は、常に現場の視点に立つ。ネットニュース監修や講演にて情報発信を行う一方で、SNSでは「#ラーメン社労士」としても活動し、親しみやすい人柄で信頼を得ている。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース