アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が、披露宴の会場を予定していたベネチア中心部から移動することを余儀なくされた。市内の運河をワニ型の浮き輪で埋め尽くし、招待客の上陸を妨害するという抗議活動が予告されたためだ。
ベゾス氏は今週、ローレン・サンチェス氏との結婚を記念し、ベネチア中心部にある16世紀のホール「スコーラ・グランデ・デッラ・ミゼリコルディア」で披露宴を開催する予定だったが、住民による激しい抗議を受け、より安全とされる「アルセナーレ」へと会場を変更したと報じられている。
抗議活動に参加したトマソ・カッチャーリ氏は、英タイムズ紙の取材に対し「ベゾス氏は逃亡中だ。これは、地球上で最も裕福な人物の一人に対抗した、金のない少数の人々による信じられない勝利だ」と語った。
ベゾス氏とサンチェス氏による3日間にわたる結婚式には、キム・カーダシアン氏、ゲイル・キング氏、ビル・ゲイツ氏などの著名人が出席予定とされているが、複数の団体が「ベゾスのための場所なし(No Space for Bezos)」というスローガンを掲げ、ベネチアの魂が失われた象徴として、この豪華な挙式に抗議の声を上げている。
一方、ホテルやレストランの経営者、業界団体などで構成されるライバル団体「イエス・ベネチア・キャン(Yes Venice Can)」は、「騒々しい少数派のせいで、世界から見たこの街のイメージが損なわれることは許されない」との声明を発表。ベゾス氏とサンチェス氏に、ベネチアでの忘れられない体験を提供する意向を示している。
また、環境保護団体グリーンピースと英国のキャンペーン団体「エヴリワン・ヘイツ・イーロン(Everyone Hates Elon)」は、23日にサン・マルコ広場で「結婚式のためにベネチアを借りられるなら、もっと税金を払え」と書かれた横断幕を掲げ、抗議活動を行った。