スーパーで見かける、水色のトレーに入ったわらび餅。見た目も涼しげで、夏バテ中もツルンと食べやすく、蒸し暑い日のおやつにピッタリな逸品ではないだろうか。実は関西はきな粉のみ、関東はきな粉と黒蜜が添付され販売されている。なぜ地域差があるのか?出汁文化と同様、わらび餅にも東西にボーダーラインが? 無色透明のわらび餅の元祖、明日香食品株式会社(大阪府八尾市)の中野文子さんに話を聞いた。
――なぜ地域差が?
中野:わらび餅はもともと西日本の食文化で、きな粉を付けて食べていました。2000年頃に弊社が東日本に進出した際、西日本では定番の夏の涼味菓子を東日本でも広めようとしたのですが全く売れず。悩んでいところ、お客様から「東日本は黒蜜をときな粉と一緒に食べるくず餅が有名。わらび餅にも同様に、きな粉と黒蜜を加えてみてはどうか」とリクエストが来ました。すると爆発的な大ヒット。そこから、東日本ではその文化が定着しました。
――どこで分かれているんでしょうか。
中野:静岡県内が境界線です。静岡の西部はきな粉のみ。静岡の東部はきな粉+黒蜜が主流だと思います。明日香食品の大阪の工場から供給しているエリア、千葉の工場から供給しているエリアによって、自然に静岡が境界線になりました。
――きな粉と黒蜜、両方をまんべんなく綺麗に付ける方法は?
中野:先にトレーの中のわらび餅に黒蜜をかけて馴染ませたあと、きな粉をまぶすと、きな粉の香ばしさが引き立って美味しいです。焙煎からこだわった弊社独自のわらび餅専用ブレンドのきな粉で、これだけ売って欲しい!と熱烈なラブコールをお客様から頂くこともあるんですよ!
――オススメの食べ方やアレンジは?
中野:美味しく食べるコツは、食べる前に軽くすすぐこと。お餅の表面がツルツルになって出来立てのような美味しさになります。かき氷シロップに漬けて着色するレインボーわらび餅もオススメ。カラフルで、いつもと違った風味のわらび餅が楽しめます。
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SNSでは「黒蜜なしで何が美味しいの!?」「きな粉が甘いから黒蜜は不要!」など激しい議論が散見された。中には「食べ終わった後に黒蜜ときな粉を混ぜて作る団子が美味い」という強者も。本来はわらび粉を使用した高級和菓子だったが、食品加工技術が向上し気軽に食べられるように。物価高騰の中でも気軽に涼めるわらび餅、この夏もお世話になりそうだ。
明日香食品株式会社
https://www.asukafoods.co.jp/