VRChat、通称VRCをご存知だろうか。アバターを通じて他人と交流することができるSNSとしても楽しめるゲームだ。デスクトップでも遊べるが、VRゴーグルを使用すれば、仮想空間への没入が楽しめる。
誕生日にVRCのフレンドに祝ってもらうなんて文化もある。今回、イラストレーターにして3Dモデラー・ヨノイさん(@yonoiVR)が描いたイラストは、そのVRCの楽しさとなんともいえない現実の悲哀を描いたものだった。
VRCフレンドに囲まれて、楽しそうなイラスト。そして、その瞬間の現実は暗い部屋のなかゴーグルをかぶりながらゲーミングチェアに座る構図。なんともいえず、心に刺さる。なんだ、VRCの楽しさは嘘じゃないのに。
その後、投稿されたイラストは現実にVRCフレンドがオフでも訪ねてきて祝ってくれる構図だった。これはハッピーエンドすぎる。もちろん、VRCで祝ってもらうのはそれで十分楽しいものだけど。
それにしてもこのイラスト、やってきた人の数がなぜか5人で「ケーキも誰かのアバターだったのか」と思わされたり、宇宙人の中の人も宇宙人で「え、人間じゃなかったの」と驚かされたり、小ネタがたっぷり詰まっていた。
はたして、このイラストのテーマはどんなものなのだろうか。ヨノイさんに話を聞いた。
ーーこのイラストはどんなテーマの作品なのでしょうか。
ヨノイ:このイラストは、楽しい時間にもふとした時に感じる不安や寂しさなどの言語化しづらい空虚な感情をテーマに描きました。
VRCというコンテンツはその性質上、良くも悪くも特異的な文化として誇張された取り上げ方をされることが多く、ポジティブな意見でもネガティブな意見でも、極端な言葉が拡散されやすい分野だと思います。
一方で、私自身はVRも現実も変わりはなく、お互いが地続きの関係にあるものだと考えており、現実でもよく感じるような些細な感情の移り変わりのような、一見地味だけどより生活的な感覚もVRで表現できればと思っております。
ーーいろんなテーマは先にもう考えているのでしょうか。テーマを思いついたらイラストを描いているのでしょうか。
ヨノイ:アイデアを思いついたらスマホにメモしておいて、気が向いている時に描いています。
散歩している時とか本を読んでるときとか、毎日のふとした時に思い付くんですが、自分の中であんまりハードルを上げたくないので面白くても面白くなくてもとりあえず絵にして投稿しています。
ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。
ヨノイ: 大勢の方に自分の絵を見ていただいてとても嬉しいです。自分自身VRCでよく遊ぶんですが、一人でお気に入りのワールドを探索しながらのんびり過ごすのが好きです。
いろんな国の言葉でいろんな感想をいただきありがたく感じております。
ーーオフラインでも訪ねてきて祝ってもらうシチュエーションのイラストは元々用意されていたものでしょうか。
ヨノイ: なんだか寂しい絵になってキャラクターが気の毒だと思ったので書きました。友達からのサプライズのお祝いほど嬉しいプレゼントもありません。
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ヨノイさんはVRCイベント「放課後タイムマシン」に参加した際のイベレポマンガをバーチャルライフマガジンに寄稿している。これが、なかなかにエモい。
「放課後タイムマシンは」学校時代のシチュエーションを楽しみ、その役割をロールプレイするイベントなのだが、だからこそ”あの頃”を想起する展開は、ぜひとも読んでみてほしい。
ヨノイさん関連情報
Xアカウント:https://x.com/yonoiVR
BOOTH:https://yonoi.booth.pm/
「放課後タイムマシン」イベレポマンガ:https://vr-lifemagazine.com/talking-to-my-younger-self/