国民民主党が11日、7月の参院選全国比例で擁立を決めていた山尾志桜里元衆院議員(50)について急転、公認内定を取り消すと発表した。この日午後5時から開かれた同党の両院議員総会で、公認見送りが了承された。
玉木雄一郎代表(56)は、国会での党首討論後に記者の取材に応じた。玉木氏は「(山尾氏を)擁立した代表の私にも責任があると思っています。擁立の経緯、そして公認候補予定者から公認に移行しない。その理由を有権者、自治体議員も含めた仲間や、支援者にもしっかり説明していきたい」としたが、具体的な責任の取り方を問われると「厳しく受け止めたいと思います」と述べるにとどめた。
発表前に、山尾氏へ公認内定取り消しを伝えたという。記者から山尾氏の反応を問われたが「事前に伝えています。反応は相手があることなので控えたいと思います」と詳細は語らなかった。
玉木氏は「すべての公認候補予定者を、いずれかの段階で、公認に移行させていかなければなりません。きょう両院(議員)総会で決定したのは、山尾志桜里氏については、公認候補予定者からですね、公認に切り替えないという決定をいたしました」と経緯を説明。理由について「正直、有権者、全国の仲間、支援者…こういった方々からですね、十分な理解と信頼が得られないと判断をいたしました」と語った。
5月14日に擁立を決めたことについて「憲法を中心にですね、我が党の憲法調査会にも多大なる貢献をいただきましたし、彼女のこれまでの経歴を見ても、政策能力に大きく期待をしました」と説明。過去の言動や不倫疑惑に批判が集まってきた山尾氏だが「過去さまざまなことが取り上げられたこともありますけれども、どんな人にもチャンスを与えるというのが私たちの政治姿勢でもありますので、そういった観点から擁立をしました」と説明した。
党の全国幹事長会議や、全国の地方議員を集めての会議で意見を聞いてきたが「その中からは『街頭でも厳しい声をいただくし、なかなか選挙戦を積極的に展開できない』そういう厳しい声をすべての都道府県連からもいただきました、多くの自治体議員からいただきました」と、山尾氏の擁立に猛反発があったとした。
「きのう(10日)の(山尾氏の)会見もひとつですけれども、一昨日行われた両院議員総会…会見の前に行われていますけれども、また昨日、地方議員からも意見をうかがいました。昨日の会見を受けて、けさ両院議員懇談会を朝8時から行ってですね、所属国会議員にもお話をうかがいました。そういう中で、特にこれから都議選、参議院選挙という中で、選挙を展開することが極めて難しいという声や、さまざまな問い合わせをいただいて答えることがなかなか難しいという声も多数いただきました。その意味では有権者、そしてまた自治体議員の仲間や、支援者の理解と信頼を得られるには至っていないという判断で、今回の決断に至りました」と、10日の山尾氏の“釈明会見”後の動きを明らかにした。
「(山尾氏の)過去の不祥事であったりとか、不倫疑惑に対しての説明が不十分だったのか」と問われた玉木氏は「そういう声が多かった。精いっぱい質問が切れるまで答えていた姿勢は、私も誠実に取り組んだと思いますけれども、なかなか明確に答えにくい点があったことも事実なんだと思います。そのことを、どのように有権者、一般の方、また仲間が思うのかという結果ですから。今朝、そしてきょうの(夕方)5時、改めて両院議員総会、懇談会に集った衆参の仲間に諮った結果、理解と信頼を得るには至っていないということで、今回の決断に至った次第です」と答えた。
一連の党の判断については「遅かった。あるいは別の反応があったのではないかという批判は真摯に受け止めたい」と、険しい表情を見せていた。