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大河「べらぼう」禿から一人前の遊女へ!しかし遊女の一本立ちは大変だった!?

濱田 浩一郎 濱田 浩一郎
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)
画像はイメージです(freehand/stock.adobe.com)

 大河ドラマ「べらぼう」第22回は「小生、酒上不埒にて」。禿(かぶろ)とは高級遊女に仕えて見習いをした少女のことです。「べらぼう」に登場する誰袖(演・福原遥)も禿上がりの遊女として描かれています。禿は遊女に仕えた訳ですが、只管(ひたすら)「柔順」に遊女の命じるままに従ったと言われています。禿の中には坊主頭にして頭巾を被っている者もいて「坊主禿」と呼ばれていました(頭を前髪と両耳の辺に少し毛を残すだけであった)。元来、垂髪の女童のことを内裏では「かむろ」(かぶろ)と呼称していましたが、その呼称を遊郭でも使うようになったとされます。

 食事の給仕、道中の扈従、買い物など禿には様々な任務がありました。一本立ちできるようになる禿は諸芸の修行に打ち込むことになります。遊郭の主人(もしくはその女房)がそうした禿を側に引っ込めて芸事を習わせたのです。この事からその禿のことを「引込禿」などと呼んだりします。修行を経て、禿もいよいよ一人前の遊女として船出していくことになるのです。禿は「新造出」(しんぞうだし)=姉女郎が禿を新しく自分の妹分として披露することを経て一人前の遊女として立っていくことになります。禿は人によっては5、6歳(もしくは7、8歳)から遊郭におりました。

 そして13歳か14歳ほどになると、姉女郎(先輩遊女)の見計らいにて新造出となるのです。新造出(お披露目)の費用は、姉女郎の贔屓の客から出されました。5、6歳の頃から姉女郎に仕えて一本立ちしていく禿は姉女郎という後援者がおり、その馴染み客もいるから良いですが、そうではない女性もおります。例えば14、15歳頃から遊郭の世界に入った女性ですぐに一本立ち(新造出)となった場合は、後ろ盾の姉女郎もおりませんし、贔屓客が費用負担してくれる訳ではありません。そうした場合には、抱え主(芸妓を抱えている人。遊郭の主人)が新造出の費用を賄いました。ちなみに14、15歳以上の年齢で遊郭に入った女性は「つき出し」と呼ばれました。「つき出し」の新造出の際に抱え主が負担した費用は、一本立ちしたその遊女が稼いで払わないといけなかったので大変です。遊女の一本立ちというのも一筋縄ではいかないということが分かるかと思います。

(参考文献一覧)
・北小路健『遊女  その歴史と哀歓』(人物往来社、1964)
・小野武雄『吉原・島原』(教育社、1978年)

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