俳優のジョン・ハムが、ドラマ『マッドメン』(2007〜2015年、全92話)で絶え間なくたばこを吸う広告マン、ドン・ドレイパーを演じ、撮影中に大量の「偽タバコ」を吸っていたことについて「今も生きているのはラッキーだ」と語った。
米テキサス州オースティンで開催されたATXテレビフェスティバルのパネルディスカッションで、「衣装を着て、偽の窓からマンハッタンを眺めながらタバコを吸うと、本当に信じられる世界だった」と撮影当時を回顧、「長年にわたって関われたのは光栄。とにかく、あれだけの本数を吸ってまだ生きているのが嬉しい」と冗談交じりに語った。
『マッドメン』は1960年代のニューヨークの広告業界を描いたドラマ。当時の勤務中の社内での飲酒、喫煙や、セクハラや人種差別などといった社会や風潮を忠実に再現している。
ドラマ放送前にはテレビ局AMCの幹部と、「登場人物が本当に喫煙する必要があるのか」について議論になったこともあるという。ジョンは「『マジで聞いてる? 吸うに決まってるだろ。彼らはニコチン中毒なんだから』と答えたよ」と、当時のやりとりを明かした。
劇中で使用されたタバコは、バラの花びらやマシュマロで作られた小道具だったが、健康に良いとは言えなかったとし、「パイロット版(第1話)だけで75本吸ったらしい。ニコチンは入っていなくても、何かを燃やしていることに変わりはない」と語った。
また、撮影は屋外ではなくスタジオ内で行われたため、「セット全体が偽のタバコの煙で満ちていた」とも振り返っている。