完全予約制の“幻”のラーメン屋「ら道」。東大阪の古いアパートの2階で営業し、最長6年とも言われる予約待ち。現在は部屋数と夜だけから昼夜に営業時間が変更されたため、かなり待ち時間が短縮されている。とはいえ、予約から既に3年近く経過。やっとこの日がやって来た~!
5月某日。完全予約制のため、看板も暖簾もない「ら道 本店」を住所を頼りに訪れた。アパートの外階段を上るとドアの前に置かれた「やってます」の文字が、そこがお店だと示している。靴を脱いで中に入ると、厨房横を通り、部屋に通される。白い布が張り巡らされ、ラーメン魔窟と呼びたいダンジョンの雰囲気を醸し出す。オーナーの水谷寿志さんは、元々は保険の営業をしていた。20代の頃からラーメンが大好きで、巡った店は1000軒以上。4000杯以上を食したという。そして約25年ほど前に「自分の好きな味がわかってきた」と作る側に転身した。師匠には付かず、独自で研究を重ね、約1年かけ豚骨ベースで臭みのないクリーミーなスープとかえしを完成させた。
その後、2014年に親類が持つ2階建てアパートで、スープ工房を開店。当初はスープの販売だけだったが、「ここで食べたい」という要望が相次いだことでイートインできるようにした。いまでもスープ作りがメイン。そのため「ラーメン店」ではなく「スープ販売店のイートイン」の立ち位置は崩さず、完全予約制の形をとる。当初は夜だけ1組だったが、アパートの「6部屋のうち5部屋」まで店を拡大したことで、夜は1日2組まで受け入れ可能に。さらに昼間の営業も開始。こちらは「平日がお休みの方はもちろん、接待で使用される方もいる」とのこと。確かに!唯一無二の雰囲気と味。何も知らずに招待された方は驚くこと間違いない。
麺は中太。スープはどろっとしたような見た目に反し、くどくない。臭みはまったくなく、豚骨が苦手な人でも美味しくいただける。トッピングはチャーシューとネギのみと、いたってシンプル。サイドメニューにチャーシュー(予約制)、チャーシュー細切れ(当日OK)などもある。替え玉はもちろん、白いご飯を頼んで、チャーシュー丼を楽しんだ後、残ったスープにご飯をドボンと投入するのが「ら道流」。スープを一滴も残さず飲み干してしまう。それでも「塩分量は、一般的なラーメン店より、かなり低めになっております」と、体にも優しい。
これまでの数々のテレビに「隠れすぎた名店」として放送されてきた。ダウンタウンの浜田雅功が「美味い!」と絶賛したこともある。そんなテレビが放送されるたびに予約が殺到するが、電話は公開しておらず、予約はFacebookとインスタグラムのみ。「Facebookの方が、予約は取りやすいですね。いろいろと注意点があるので、熟読してから予約をお願いしたい」という。また昼間の方が予約は取りやすいという。
2年も3年も待てない!という人は、本店での通販や大阪市内の阪神百貨店などでも販売している。一時期、大阪市内や堺市でも「ら道」のスープを使用したラーメン店がオープンしたこともあった。だがコロナ等もあり、すでに閉店。お店で食べることができるのは、東大阪市の「ら道 本店」のみとなっている。「スープだけ卸してのれん分けの形ですが、やはり難しいですね」と水谷さん。ほの暗い独特な雰囲気のお店で食べるラーメンは、断然美味しい気がするのはなぜだろう。やはり地道に予約を待つしかない。次回はまたウン年後に!
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