「愛情」なのか、「訓練」なのか…。不思議な光景が話題になっている。エジプトの首都カイロの街を走るバイクを追う1羽のハト。懸命に白い羽根をはばたかせ、バイクに並び、時には追い越す姿がユニークで“けなげ”にも見える。
ハトの名前は、ボンダク。調教師の男性、アブデル・ラフマン・イスマエルさんと特別な「絆」を築いており、彼がバイクを運転すると忠実についてくる。
イスマエルさんによると、3年前から『フリーフライング』の訓練をしているという。「これは鳥を自由に飛ばすという意味で、縛ったり拘束したりはしない。ボンダクは1歳半で、バイクで走る私の後ろを飛ぶように訓練されている。ほかにもいろんなことができる。私の呼びかけに応じるし、別の人に預けても、呼べば私の元へ戻ってくる。地上から6階の高さまで呼び寄せることもできる」
ボンダクは同種の鳥にしては社交的で、互いの間に強い絆があるという。
「これまでに何羽か鳥を失ったことがある。自由に飛ばしている以上、逃げてしまうリスクはある。でもそれはどれだけ訓練したか、どれだけその鳥を愛しているか、そして鳥がどれだけ自分を愛してくれているかにかかっている。それが鳥を引き留めるんだ」
過去の結果に基づいた訓練も大事だが、決め手は「愛情」ということか。
「はっきりさせたいのは、世界中のどんなハトでも、必ず『帰る場所』を持っているということ。鳩舎とか、特定の場所に愛着がある。だから仮にどこかに連れて行っても、必ずその場所に戻ってくる」とイスマエルさんは話していた。