東映は16日、同社最後の直営映画館「丸の内TOEI」の閉館日(最終営業日)が7月27日に決定したことを発表した。同日、同劇場で行われた「東映ラインナップ発表会」で、吉村文雄代表取締役社長が明らかにした。今春から閉館にまつわる各種イベントがスタートし、東映名作の上映が予定されている。
同劇場は1960年9月20日、東映の現本社ビル「東映会館」に、「丸の内東映」と洋画封切館である「丸の内東映パラス」としてオープン。89年に「丸の内東映パラス」が「丸の内東映パラス」に改称された。2004年、両館を「丸の内TOEI」に名称統一し現行の2スクリーン体制に。銀座の顔として街並みに溶け込み愛されてきた。
24年5月、東映会館の老朽化を理由に25年夏をめどに再開発することを発表。それに合わせて、同劇場も25年夏に閉館となり、60年以上の歴史に幕を下ろすことが決定していた。
閉館日決定に合わせて、東映作品に深いかかわりを持つ俳優の北大路欣也、吉永小百合、舘ひろしからコメントが寄せられた。吉永は「映画の本来の楽しさを知る、大切な大切な直営の劇場が無くなってしまう……悲しいです。感謝の思いでいっぱいです」と惜別と感謝の思いを寄せた。
3人のコメント全文は、以下の通り。
【北大路欣也】
「1965年に映画『父子鷹』でデビューさせていただき、偉大な先人の方々の情熱溢れる仕事ぶりを目の当たりにし、身の引き締まる緊張感を覚えました。今もその感動の日々を忘れることはできません。あらゆるポジションの方々が、力を結集し全身全霊で築き上げられた東映本社ビルと劇場『丸の内TOEI』。私も幾度か作品を通して劇場の舞台でファンの皆さまと交流をさせていただき、楽しい時間を共有できたことは嬉しい思い出です。皆様、本当に有り難うございました。多謝再見!」
【吉永小百合】
「初めて丸の内TOEIで舞台挨拶をさせていただいたのは、1980年1月15日。一年間掛けての撮影で映画の本当の醍醐味を知り、役に成り切る高倉健さんのパワーに圧倒された『動乱』の初日でした。それ以来、20本近くの作品の初日をこの劇場で迎えたのです。公開中に、お客様の反応を知りたいと、そーっと後部の席に座ったこともありました。映画の本来の楽しさを知る、大切な大切な直営の劇場が無くなってしまう……悲しいです。感謝の思いでいっぱいです」
【舘ひろし】
「私は、東映でデビューしたので、丸の内TOEIの上にある本社にはよくお邪魔し、私にとっては特別な場所です。そして、映画『あぶない刑事』シリーズの初日舞台挨拶では、本当に多くのファンの皆さんが劇場の前に集まり、温かく迎えてくださったことが今も心に残っています。歴史ある丸の内TOEIが惜しまれながら閉館してしまうことはとても残念です。沢山の思い出と、感動をいただき、感謝しております。ありがとうございました」