24年7月の東京都知事選で約166万票を集め、次点となった前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(42)が15日、都内で会見し、7月22日の任期満了に伴う夏の東京都議選(定数127)に向け、地域政党「再生の道」を設立したと発表した。都議選全42選挙区に候補者を擁立する意向。自身の出馬については「出ません」と明言したものの、SNS選挙のはしりとなった都知事選での「石丸現象」再現を目指す。
注目の〝石丸新党〟がベールを脱いだ。「ずいぶん前からこの国、日本がもうマズい、何とかしないといけない、そんな思いが募っていました。この日本を蘇らせる。その意味を込めて、再生とつけます。生まれ変わるくらいの変化。これが今の日本に必要」。石丸氏は、党名を「再生の道」とした思いや理念を、プレゼン形式で熱弁した。
司馬遼太郎の歴史小説「坂の上の雲」にも触発された。「日本が勃興していくという話だった。しかし、今は逆です。まったく逆です」と、日本が置かれた現状を激しく憂いた。「再生の道とは、誰かが敷いた大きな道ではなくて、私たち一人一人が探して歩いていく。そういう道が必要。それらがつながり合わさって、日本の再生という大きな道になっていく」と、100人以上が詰めかけた報道陣の前で説いた。
新党の目標を、歯切れの良い言葉で語った。「今回の新党で目指すのは、平たく言えば政治屋の一層です。大した能力もないのに、よく分からない力学で議員になっている。しまいには議員の椅子にしがみつく。これこそ諸悪の根源。日本が衰退している原因と断罪します」。後ろ盾がなくても選挙に通りやすいシステムを構築し、都議選以外の地方選挙にも〝輸出〟していく構想を明らかにした。
都議選への自身の出馬は完全否定したが、全選挙区での候補者擁立を目指す。公募についても、人気コンサル企業の就職活動のような選考を課す。書類審査とテスト、石丸氏との15分間の最終面接で候補者を選び、YouTubeで公開するという。「限られた時間の中でコスパ、タイパを最大化できる。そういう能力が問われます。イデオロギーではなく、仕事ができるかできないかで選びたい。実務能力があるかどうか。あまりにも今の政治家には、能力が足りない人が多すぎる」と思想、信条を問わない能力主義を訴えた。
石丸氏は「綱領、党の約束事はただひとつ。多選の禁止です。これが鉄の掟です。逆を言えば、それ以外の縛りはありません。他の党とかけ持ちしていただいても構いません」とし、任期の上限を2期8年とすること以外の条件はつけないという。党の政策についても「党として実現する政策は、ここでは出しません。各人の良識、判断能力に任せたい」と、各々の条例案への賛否も議員の判断に委ねるとした。
〝石丸新党〟の初陣を、都議選とした理由について「東京が有利だから。おそらく石丸伸二という名前が一番通っている。自分のこの存在を使うのであれば、ここしかない。都知事選で得たものを使い切るのであれば、都議会選挙に照準を合わせるのが適切」と戦略を立てた。
24年衆院選での国民民主党の躍進や、斎藤元彦知事(47)が再選した同年の兵庫県知事選は、X(旧ツイッター)やYouTubeなどSNSの力が大きいとされた。SNS選挙本格化の幕を開けたのは、都知事選で大躍進した石丸氏だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表(55、役職停止中)との連携も示唆した石丸氏は「再生の道をもって、日本の再生を始めていきたい。まずは東京都から始めます。自分たちの力で、この町を、この国を何とかしたいという志のある皆さん。お待ちしています。ぜひ一緒に、この東京を動かしていきましょう」。夏の都議選をアツくさせる石丸劇場〝第2幕〟が開演した。