漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2024」の決勝戦が22日、テレビ朝日系列で生放送され、令和ロマンが史上初の連覇を果たした。漫才への分析が注目されてきた高比良くるまは大会後の会見で、それを上回る〝M-1愛〟を口にした。
バッテリィズ、真空ジェシカとの最終決戦。9人の審査員によるジャッジ発表の直前、くるまは既に感慨に浸っていたという。「最終決戦3組が終わった時点で、優勝くらいうれしかった。『できたー!いいM-1だった~』と思っていた。発表の間もセットをずっと見ていたて、良かったなあって。プラスαの優勝でした」と振り返った。全10組が持ち味を発揮し、大きな盛り上がりを見せた今年のM-1が何よりうれしかった。
昨年の優勝直後に「M-1大好きです!来年も出ます!」と宣言し、当初は消極的だったという松井ケムリとともにつかんだ史上初の連覇。昨年は第1回大会の中川家以来となるファーストラウンドのトップバッターからの栄冠が注目されたが、今年もえみくじでトップバッターが割り振られるサプライズが発生。「2年連続優勝より、2年連続トップバッターがファイナルに進む方が難しそうじゃないですか。マジで」。偉業を彩りが加わった。
昨年は複数の持ちネタを用意し、登場順や状況に応じてネタを選択したことを明かし、その分析力がインパクトを与えた。今年11月には漫才を分析した「漫才過剰考察」(辰巳出版)を上梓。高比良の分析は広く知られることになった。
今年は1本目に名字をモチーフとしたしゃべくり漫才、2本目にタイムスリップからのコント漫才を披露。1本目、2本目ともに当初から決めていたという。くるまは「去年もしゃべくりと2本目はコントで優勝できたので、それを高める結果になった」とうなずき、分析を度外視した理由を次のように挙げた。前年王者が翌年も決勝に進出した例はNON STYLE(08→09年)、パンクブーブー(09→10年)があるものの連覇の前例がないこと。15年のM-1再開後は状況が変わったこと。これらを踏まえ「小手先のことを考えるよりも、自分たちを高める方が勝つ確率が高いと判断した。劇場でウケる、面白いことをちゃんとやることですね」と判断した。
3連覇を期待する声もある中、来年は不参加の意向を示したくるま。連覇の険しさを「もう誰もしないんじゃないですか。誰もできない、とかではなくて、面倒くさいから」と表現した。それでも「ラストイヤーまで8年あるので、いつ出てくるんだろうという恐怖、抑止力にはなる。M-1が盛り上がらなくなったら、また出るぞ、という脅しに」と語った上で「明日の自分がどんな自分なのか分からないので」と含みを持たせた。昨年はくるまが独占した賞金1000万円は、今年は全額をケムリに譲る。最高の結果で大会を盛り上げ、連覇の勲章にとどまらない物語を、20回の節目を迎えたM-1の歴史に残した。