奈良県知事 K-POPイベント「日韓若い世代の交流重要」「有料化検討」事業費約2.7億円含む補正予算可決

杉田 康人 杉田 康人
山下真奈良県知事(写真提供・共同通信社)
山下真奈良県知事(写真提供・共同通信社)

 奈良県議会は16日、同県が友好提携を結ぶ韓国の忠清南道との共催で、2025年10月に奈良公園で開催予定のK-POPを主体とした音楽イベントの事業費約2億7000万円を含む県提出の補正予算案を賛成多数で可決した。

 山下真知事(56)は議会後の会見で「今後、準備を進めていく中で、最大限経費が節減できるよう努めていきたい。議会でいただいたご意見も踏まえ、県民の皆さんにご理解いただけるような形で、このイベントを実施してまいりたい」とした。

 費用対効果を疑問視する声に、山下氏は「2.7億円と会場設営費、警備費が高くなった原因は(奈良公園の)春日野園地、浮雲園地という外でやるということで、舞台の設営とか照明とか、K-POPの人気あるアーティストが来ても十分対応できるレベルの舞台のしつらえをしなければならない。警備も(屋外で)どこからでも入れますので、警備をそれなりにしなきゃいけないというようなことで高くなってしまった」と説明した。

 さらに「日韓関係の改善に対して、地方の草の根レベルの中でそれを下支えするという趣旨や、イベントをすることによる経済効果。こうしたビッグイベントを奈良県で行うことによる奈良県のPR。そうした効果が期待できましたので、ご理解いただけないかと思って予算案を提出しました」と力を込めた。

 経費節減策について、山下氏は「屋外でやると舞台設備とか警備で、屋内でやる場合よりかなりの金額がかかる。特殊事情をご理解いただいて、有料化するということについて今後検討していきたい」として、無料イベントを望む忠清南道側と協議するとした。

 また「会場設営、警備費そのものについても、もっと経費節減できる余地がないのかしっかり精査していきたい。企業からの協賛金を募ったりボランティアも募って経費を節減するとともに、奈良県全体でこのイベントを盛り上げる体制ができればいい」と強調した。

 奈良県は、忠清南道と2011年11月に友好提携を結んだ。記者団から「交流都市とのバランスというところで考えると、14年目で、なぜ韓国だけこのような大きなイベントを開催することになったのか」との質問が出た。

 山下氏は、2025年が日韓国交正常化60年という節目の年であることを挙げ「政府で日韓国交正常化60周年の記念事業を地方公共団体、民間から募ろうとしている。そのような政府の取り組みに呼応するというような目的で来年を選んだ」とし、忠清南道との友好提携15周年を前倒しする趣旨だとした。

 K-POPイベントの意義について「日韓友好親善、経済効果、奈良県のPRの価値がある。日韓関係を安定的に保っていく上では、若い世代がこれからの日本や韓国を担っていく。若い世代の交流ということが重要ではないかという風に考えまして、こうした機会をやろうとした次第」と述べた。

 一方で、県は奈良県は、平城宮跡とその周辺の歴史・文化資産の価値を広める目的で行われていた「天平祭」の中止を決定した。

 整合性を問われた山下氏は、天平祭の開催経費が1.2~2.8億円だとして「天平祭は2011年から11回開催してきました。ある程度、天平祭が実現しようとしたお祭りの趣旨はある程度浸透したということと、県民の認知度が県実施のアンケートで確か17%ぐらいだった。それぐらいの人しか知らない。それを続けるよりも、もっと趣向の違ったイベントをする方がより費用対効果が高いんじゃないかと私は考えました」と話した。

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